上場企業の平均年間給与は7年連続上昇の606万円

 2018年決算の上場企業2591社の平均年間給与は606万2000円で、前年より7万円(1.1%)増加し、初の600万円台となったことが、東京商工リサーチが27日に発表した「上場企業2591社の平均年間給与調査」結果で分かった。給与の増加は2012年から7年連続で、8年間で42万5000円(7.5%)上昇。伸び率1.1%増は、2017年を0.5ポイント上回り、2016年(同1.0%増)以来、2年ぶりに1%台の上昇率となった。

 平均年間給与の最高はM&Aアドバイザリーの「GCA」の2063万3000円(前年1559万円)で、唯一の2000万円台。2位は不動産賃貸の「ヒューリック」の1636万円(同1530万6000円)。事業承継や都心部での再開発など活況な不動産業界を反映した。3位「三菱商事」、4位「伊藤忠商事」、5位「三井物産」と総合商社が名を連ね、1000万円以上は31社(前年28社)で過去最多となった。

 国税庁の民間給与実態統計調査(平成29年分)によると、平均給与は432万2000円(うち、正規493万7000円)で、5年連続で前年を上回った。ただ、上場企業の平均年間給与と2017年で167万円の差がある。業績好調を背景に、上場企業の平均年間給与は上昇をたどっているが、中小企業は人材確保による人件費アップを避けられず、規模による収益格差は広がっている。

 業種別では、最高が「建設業」の718万7000円(前年707万3000円)で、2015年(671万2000円)から4年連続でトップを守り、平均年間給与が唯一、700万円台に乗せた。次いで、「不動産業」696万4000円(前年675万4000円)、「電気・ガス業」672万5000円(同673万4000円)と続く。トップの建設業は活発な建設投資による業績改善だけでなく、人材確保のための賃金アップもあるようだ。

 一方、最低は、「小売業」の473万8000円(同471万4000円)で、唯一、400万円台にとどまった。次いで、「サービス業」540万6000円(同535万1000円)、「水産・農林・鉱業」602万円(同602万9000円)の順。トップの建設業と最低の小売業の差は244万9000円と1.5倍の格差がある。ただ、小売業は6年連続、サービス業も8年連続で、平均年間給与が前年を上回り、待遇改善は進んでいる。

 同調査結果は↓

http://www.tsr-net.co.jp/news/analysis/20190527_01.html