リサーチ総研が消費者による今後1年間の見通し判断を調査した4月の消費者心理調査結果(有効回答数1154人)によると、2月調査で大きく後退していた景気見通し指数はひとまず上昇も、景況感の先行き改善は力強さに欠ける。また物価「上昇」見通しは2調査連続の増加、上昇圧力は高まり、8割近くに達している。他方で、雇用の見通しは落着きを取り戻し、緩やかな持直し基調にあった収入の先行きは足踏みがみられる。
2月に大きく後退した消費者心理は一服し、不安定な状態を脱するには至らない。消費者の景気、雇用、収入、物価等に対する見通しの変化を反映した消費者心理の総合指標ともいうべき生活不安度指数は、4月は124と前回2月から2ポイントの低下、ほぼ横ばいも強含み。この1年は8月に129まで上昇も、前々回12月に116まで低下、持直し方向だったが、前回2月にかなり上昇、3調査ぶりの後退で不安定さが残っていた。
生活不安度指数のもととなる今後1年間の暮らし向きの見通しは、「良くなる」9.4%、「変わらない」56.8%、「悪くなる」25.7%。先行きの景況感は、「良くなる」13.5%、「変わらない」30.5%、「悪くなる」42.4%。「良くなる」、「悪くなる」両側で小幅ながら改善が示された。この回答割合を指数化した4月の国内景気見通し指数は56で、一気に後退の進んだ前回2月の47から上昇、回復も、17年以降でみると、依然として2番目に低い水準だ。
雇用(失業不安)の先行き見通しでは、「不安」と答えた人は55.2%、「不安なし」は41.1%。2月と比べ、4月は改善が認められる。収入の先行き見通は、「増える」人は12.8%、「変わらない」人は52.3%、「減る」人は26.5%。2月と比べ、「変わらない」はほぼ横ばいで、18年6月以降6調査にわたり5割を上回り続けている。前々回12月までは緩やかな持直しの動きにあったが、19年に入ってからは回復にもたつきが見られる。
物価の先行き見通しでは、「上昇」は77.6%、「変わらない」は12.3%、「下落」は1.5%。2月と比べ、「上昇」はかなり増加、16年4月以来3年ぶりに7割を上回り、また15年4月以来の8割の水準も視野に入るまで拡大。一方、「下落」はほぼ横ばい、17年4月以降2%を下回る状況が続く。消費者の物価見通しは、2月に上昇気配はみてとれたが、4月はさらに上昇圧力の高まりが認められる。
以上、不安定さの残っていた消費者心理の後退は一服し、ほぼ横ばいも前を向く姿勢が示されたが、見通しのつかない状況が続いている。なお、今後1年間が商品等を購入するのに「良い時」か「悪い時」かについて尋ねた4月の購買態度指数は、2月と比べて「不動産」(96→85)と「自動車」(100→90)は下げ幅が10%を超えて大きく低下。「耐久財」(108→100)は3調査連続の低下となり、「良い時」と「悪い時」のバランスする状態まで後退している。
同調査結果は↓