公益社団法人日本通信販売協会によれば、国内の通販市場は2017年まで19年連続で伸長し、7.5兆円市場となっているが、一方で、大手の寡占に伴い業者の淘汰が進んでいる。帝国データバンクがこのほど発表した「通信販売業者の倒産動向調査」結果によると、2018年度の通信販売業者の倒産件数は30件判明し、前年度の11件を大きく上回る172.7%増となった。2011年度の25件を5件上回り、過去最多を記録した。
一方、負債総額は1020億5600万円となり、こちらも2012年度の194億100万円を大幅に上回り過去最大となった。これは、(株)ケフィア事業振興会(東京都千代田区、2018年9月破産)の負債が約1001億9400万円と、通信販売業者では過去最大の倒産となったことによるもので、2018年度の負債総額の98.2%を占めることとなる。負債規模別にみると、「1000万~5000万円未満」が20件で構成比66.7%を占め最も多い。
次いで、「5000万~1億円未満」が5件(同16.7%)となり、負債1億円未満の小規模業者が全体の83.3%を占めた。また、ケフィア事業振興会の破産により、2013年度の(株)レモール(奈良県御所市、負債154億円)以来5年ぶりに「100億円以上」の倒産が発生した。しかし、ケフィア社を除けば、負債が10億円を超えるような中堅~大企業の倒産はこの5年間で発生しておらず、過去10年でもほとんど発生していない。
業歴別にみると、「5~10年未満」が12件で構成比40.0%を占め最多。次いで「10~15年未満」が7件(同23.3%)となった。設立10年未満の企業が半数を占めていることから、新規参入しても厳しい競争にさらされ、事業が行き詰るケースも多いという実態が浮き彫りとなった。また、従業員規模別にみると、30件中28件が10人未満の業者であることも判明し、2018年度の通信販売業者の倒産は総じて小規模企業の倒産ということができる。
なお、健康食品の会員制通信販売を手がけていた(株)ケフィア事業振興会は、2011年7月期には年売上高約43億円を計上していた。グループ会社も含めて通販会員に対する高金利の借入や投資勧誘などで資金を調達していたものの、グループ内の資金繰りが悪化し、資金を提供していた通販会員に対する支払いの遅れなどにより、詐欺的なスキームも指摘され、実質的な自転車操業が表面化していた。
同調査結果は↓