東京商工リサーチが14日に発表した「2018年の全国新設法人動向調査」結果によると、同年の新設法人は12万8610社(前年比2.7%減)で、2017年は2007年の調査開始年以降、初めて13万社を超えたが、2018年はリーマン・ショック後の2009年以来、9年ぶりに減少した。一方、2018年の休廃業・解散は過去最多の4万6724社(同14.2%増)に達した。新規参入の企業が減少し、企業の新陳代謝は“少産多死”の厳しい状況となった。
2018年の新設法人を資本金別にみると、「100万円未満」が2万9419社で前年比1.4%増、「1000万円以上5000万円未満」が5746社で同0.4%増。これ以外の区分は全て減少。「1億円以上」は506社(同13.2%減)と大幅に減少。「1000万円未満」の少額資本金(その他除く)の新設法人は11万420社(同2.2%減、構成比85.8%)と、2006年の会社法施行による最低資本金制度の廃止が浸透し、構成比は9割近くにまで達している。
産業別では、10産業中6産業で前年より減少。減少率トップは、「建設業」(前年比25.6%減)で、2017年は前年比11.2%増と高い増加率だったが、一転して全産業で最も減少。次いで、「卸売業」(同8.9%減)、「不動産業」(同3.1%減)と続く。不動産業も2017年は同11.6%増と高い増加率だったが、減少に転じた。一方、増加したのは、「運輸業」(同20.6%増)、「金融・保険業」(同12.7%増)、「情報通信業」(同11.9%増)などだった。
地区別では、全国9地区のうち、「北陸」を除く8地区で前年を下回った。減少率トップは、「東北」の前年比12.9%減。東日本大震災以降、震災復興に向けて新設法人が増加をたどっていたが、2017年に減少に転じ、2018年はさらに減少幅が大きく広がった。次いで、「中国」の同5.0%減、「九州」の同4.5%減と続く。唯一増加した「北陸」も1.5%の増加(1784社→1812社)にとどまった。
都道府県別の新設法人数は、「東京都」が4万926社(構成比31.8%)で最多。2018年の新設法人のうち、3社に1社が東京都に本社を置いている。次いで、「大阪府」が1万1562社、「神奈川県」が8128社、「愛知県」が6064社、「福岡県」が5315社と大都市が上位に並んだ。対して、新設法人数の最少は「島根県」の309社。次いで、「鳥取県」314社、「高知県」397社、「秋田県」412社、「山形県」458社、「徳島県」479社と続く。
新設法人数の増減率は、38道府県で前年を下回った。減少率トップは、「宮城県」の19.2%減。東北経済の中心である仙台市を抱えるが、震災復興の息切れを示すものか動向が注目される。次いで、「長崎県」の15.4%減、「福島県」の15.1%減と続く。対して、増加率トップは「福井県」の8.4%増。福井県地域産業・技術振興課は「地場産業への支援を含め、継続した経済振興策が奏功した可能性がある」と話している。
同調査結果は↓