会社更生法の平均弁済率は11.4%、7割が10%未満

 会社更生法を申請した企業といえば、2010年の日本航空や武富士、2012年のエルピーダメモリなど大型案件が並ぶ。帝国データバンクは、2004年1月以降に会社更生法を申請した193件のうち、2019年5月7日時点で裁判所より更生計画の認可決定を受け、一般更生債権の弁済率が判明した166件について、主な事例、弁済率分布、負債額別平均弁済率などの分析を行った「会社更生法の弁済率調査」を発表した。

 調査結果によると、通常の商取引債権にあたる一般更生債権の弁済率が判明した166件の弁済率のうち、「日本航空」、「ウィルコム」、「宮古島砂山リゾート」、「金馬車」の4件が弁済率100%で最も高く、以下、産業用機械メーカーの辻産業グループの「スカイアーク」の80%、「テスコ」の70%と続いた。しかし、50%を超える弁済率の企業は166件中8件(構成比4.8%)にとどまっている。

 166件の弁済率分布をみると、「10%未満」が116件で最も多く、全体の69.9%を占めた。2000年5月の調査では「10~30%未満」に全体の6割の企業が集中していたが、弁済率は低下傾向にある。一方で「75%以上」は5件を数えた。これは、日本航空、ウィルコム、金馬車など4社の弁済率が100%となったため。また、平均弁済率は11.4%と低水準が続き、民事再生法の弁済率(15.3%、2018年12月19日発表))を下回っている。

 166件を負債額別にみると、「50億円未満」の企業が72社(平均弁済率14.1%)で最も多くなり、次いで、「50~100億円未満」(同6.3%)と「100~200億円未満」(同9.3%)がともに26社で続いた。負債額が小さい企業ほど弁済率が高くなる傾向にある。ただし、「1000億円以上」(11社)の平均弁済率は24.8%と負債額別で突出して高い。これは、日本航空、ウィルコムの2社の弁済率が100%となったことによるもの。

 近年における会社更生法の適用企業は大幅に減少しており、今後も件数は低水準で推移するとみられている。帝国データバンクでは、「これまで同様、多数の取引先を有し、社会的な影響が大きい超大型案件については、商取引債権の全額保護(100%弁済)の措置が取られる可能性が大きいものの、その他のケースの弁済率については、低水準及び減少傾向が続く」と予想している。

 同調査結果は↓

http://www.tdb.co.jp/report/watching/press/pdf/p190503.pdf