東京商工リサーチが発表した「2018年決算の役員報酬1億円以上開示企業調査」結果によると、上場企業の2018年決算で1億円以上の役員報酬を開示したのは360社、人数は731人となり、社数、人数ともに最多記録を更新した。社数は前年を24社、人数は前年を101人上回った。2010年に始まった役員報酬の開示は、2013年以降は6年連続で人数は増加をたどり、2018年には初めて700人台に乗せた。
上場企業における役員報酬1億円以上の開示は、2010年3月31日に施行された「企業内容等の開示に関する内閣府令の改正」で、上場企業は2010年3月期決算から取締役(社外取締役を除く)、監査役(社外監査役を除く)など、役職別及び報酬等の種類別の総額、提出企業と連結子会社の役員としての連結報酬1億円以上を受けた役員情報の有価証券報告書への記載が義務付けられた。
2018年の役員報酬の最高額は、ソニーの「平井一夫会長」の27億1300万円で、前年(9億1400万円)の2.9倍に拡大した。同氏は業績不振だったソニーの社長に就任したが、業績を急回復させ2018年4月に社長を退任、会長に就いた。報酬内訳は基本報酬2億4400万円、業績連動報酬6億4700万円、株式退職金11億8200万円など、全てソニーからの役員報酬だった。
2位はセブン&アイ・ホールディングスの「ジョセフ・マイケル・デピント取締役」で24億300万円(前年18億9500万円)。3位はソフトバンクグループの「ロナルド・フィッシャー副会長」で20億1500万円(同24億2700万円)。4位は同じくソフトバンクグループの「マルセロ・クラウレ副社長COO」で13億8200万円(前年開示なし)。5位はサンヨーハウジング名古屋の「宮﨑宗市会長」で12億7800万円(同1億7900万円)だった。
毎年、株主総会で自身の報酬額を公開した日産自動車の「カルロス ゴーン元会長」は7億3500万円(同10億9800万円)で19位。ただ、同氏は2018年11月に有価証券報告書への役員報酬の虚偽記載(過少記載)などで東京地検に逮捕された。日本人役員は役員退職慰労金(引当金繰入額を含む)で多額の報酬を得るが、外国人役員は賞与など、業績連動の報酬やストックオプションなど非金銭報酬が目立つ。
個別開示した360社のうち、開示人数の最多は、「三菱電機」の22人(前年22人)。2014年から5年連続(18→23→23→22→22人)で人数のトップを守った。2位は、「日立製作所」が18人で、前年から11人増え、同社としては開示人数の最多を記録。以下、「ファナック」、「東京エレクトロン」が各10人、「ソニー」、「大和ハウス工業」、「三菱UFJフィナンシャル・グループ」が各9人などとなっている。
同調査結果は↓