18年度人手不足関連倒産400件、年度ベース過去最多

 東京商工リサーチが発表した「2018年度の人手不足関連倒産調査」結果によると、同年度の「人手不足」関連倒産は400件(前年度比28.6%増)に達した。年度ベースでは、2013年度に調査を開始以来、これまで最多だった2015年度(345件)を上回り、最多件数を塗り替えた。2018年度の「人手不足」関連倒産400件の内訳は、代表者や幹部役員の死亡、病気入院、引退などによる「後継者難」型が269件(同7.6%増)で最多だった。

 次いで、人手確保が困難で事業継続に支障が生じた「求人難」型が76件(前年度比162.0%増)、賃金等の人件費のコストアップから収益が悪化した「人件費高騰」型が30件(同114.2%増)、中核社員の独立、転職などで事業継続に支障が生じた「従業員退職」型が25件(同38.8%増)だった。事業承継が重要課題になるなか、「後継者難」型が全体の6割(構成比67.2%)を超え、さらに「求人難」型や「人件費高騰」型が押し上げた。

 2018年度の産業別では、最多が「サービス業他」の105件(前年度比34.6%増)だった。内訳は、飲食業23件、老人福祉・介護事業12件、医療関係10件、人材派遣業9件、建築設計業などを含む土木建築サービス業7件など。このほか、「建設業」75件(同4.1%増)、「製造業」62件(同58.9%増)、「卸売業」59件(同43.9%増)、貨物自動車運送などの「運輸業」34件(同61.9%増)と続く。

 2018年度の地区別では、全国9地区の全てで倒産が発生。このうち「関東」(125→173件)、「九州」(39→62件)、「中部」(34→43件)、「近畿」(33→39件)、「東北」(24→28件)、「中国」(18→19件)、「北陸」(3→5件)の7地区で前年度を上回った。一方、減少は「北海道」(21→18件)と「四国」(14→13件)の2地区のみだった。

 以上のように、企業倒産が低水準をたどるなか、「人手不足」関連倒産の増勢ぶりが目を引く。特に、人手確保が困難で事業継続に支障が生じた「求人難」型と人件費のコストアップから収益悪化を招いた「人件費高騰」型の増加が際立つ。人手不足の早急な解消が難しい現状では、今後の企業倒産を押し上げる複合的な要因にもなっており、景気動向と併せてその推移が注目される。