帝国データバンクがこのほど発表した「2019年度の雇用動向に関する企業の意識調査」結果(有効回答数9701社)によると、2019年度(2019年4月~2020年3月入社)の正社員(新卒・中途入社)の採用状況は、「採用予定がある」と回答した企業は64.2%(2018年度65.9%)となり、2016年度調査以来3年ぶりに減少した。しかし、採用予定のある企業は5年連続で6割を超えており、高水準が続いている。
正社員の「採用予定がある」企業を規模別にみると、「大企業」は84.8%にのぼり、調査を開始した2005年度以降で最高を更新。大企業の採用予定は2002年2月から2008年2月まで続いたいざなみ景気当時を上回る水準となり、積極的な採用姿勢の継続が浮き彫りとなった。対して「中小企業」は59.1%となり、前回調査(2018年2月実施)から2.2 ポイント減少。大企業の積極性が続く一方、中小企業の採用姿勢は高水準ながら一服した。
一方、2019年度の非正社員(新卒・中途入社)の採用状況は、「採用予定がある」と回答した企業は50.3%となった。非正社員の採用予定は2年連続で半数を超えているものの、前回調査を2.1ポイント下回り、採用意欲がやや一服した。ただし、非正社員が人手不足の状態にある業種の採用意欲は高く、とりわけ「飲食店」で9割、「飲食料品小売」、「医薬品・日用雑貨品小売」は8割を超える企業で採用を予定している。
2019年度の正社員比率については、2018年度と比較して「上昇する(見込み含む)」と回答した企業は18.3%で、「低下する(見込み含む)」(6.1%)を12.2 ポイント上回った。正社員比率が上昇する(見込み含む)要因(複数回答)は、「業容拡大への対応」が45.8%で最も高く、次いで、「退職による欠員の補充」(37.8%)と「技術承継などを目的とした正社員雇用の増加」(30.5%)が3割台で続いた。
自社において、生産性向上に最も効果がある人材育成方法について、短期間(1年以内)の生産性向上に効果がある方法では、「職場内における教育訓練(OJT)」が60.1%となり、突出して高かった。他方、長期間(1年超)の効果では、「職場内における教育訓練(OJT)」(26.8%)、「職場外での教育訓練(Off-JT)」(22.7%)、「職場内における能力開発(OJD)」(22.4%)がいずれも2割台と、人材育成方法は分散する傾向が表れた。
同調査結果は↓