日本企業の海外進出意欲は横ばい、中・米では上向き

 日本貿易振興機構(ジェトロ)がこのほど発表した「2018年度日本企業の海外事業展開に関するアンケート調査」結果(有効回答数3385社)によると、今後(3年程度)の輸出方針については、「輸出の拡大を図る」企業が81.2%に達した。輸出拡大意欲を有する企業の比率は、2015年度(84.9%)をピークに低下を続け、17年度(79.4%)に8割を割ったが、18年度に下げ止まった。

 今後、最も重視する輸出先については、輸出の拡大を図る企業の28.1%が「中国」と回答。次いで、「米国」(14.7%)、「ベトナム」(8.0%)と続く。前回調査(16年度)と比較すると、中国の割合が19.8%から8.3ポイント増と大きく増加した。最重要輸出先を選択した理由(複数回答)をみると、中国では「当該国・地域の需要の増加」と回答した割合が92.2%と、ほかの理由を大きく上回っている。

 今後(3年程度)の海外進出方針については「海外進出の拡大を図る」企業が57.1%と前年(57.1%)から横ばいとなった(「さらに拡大を図る」企業(32.9%)と「新たに進出したい」企業(24.2%)とを合わせた数値)。拡大意欲が横ばいとなった要因として、回答企業からは人材不足を指摘するコメントが多かった。他方、海外需要には輸出で対応と回答した企業も目立った。

 事業拡大を図る国・地域については、「中国」の比率が55.4%と前年(49.4%)から6.0ポイント上昇した。中国の比率が上昇したのは、データのとれる2011年度以降で初めて。また、前年に事業拡大意欲に低下がみられた「米国」は、製造業を中心に拡大意欲が上向き、32.3%と前年(29.0%)から3.3ポイント上昇した。拡大を図る機能としては、両国ともに販売機能を挙げる企業が前年から増加した。

 国内拠点で「外国人を雇用している」企業の割合は45.1%と、前年(45.4%)並みの水準を維持。今後採用を検討したいと回答した企業は前年に比べ増加した(前年15.7%→17.8%)。外国人社員の雇用比率が高い企業では「職務内容や権限の明確化」、「給与や福利厚生など待遇面の改善」、「社内の相談体制の整備」などに取り組む比率が共通して高い傾向がみられる。

 同調査結果の概要は↓https://www.jetro.go.jp/ext_images/_News/releases/2019/562442736e6516b5/outline2018.pdf