18年中小企業の賃上げ割合は57.4%で2年連続上昇

 日本政策金融公庫が取引先を対象に昨年12月中旬に実施した「中小企業の雇用・賃金に関する調査」結果(有効回答数4671社)によると、調査時点での正社員の過不足感は、「不足」との回答割合が60.8%となった。「適正」は34.5%、「過剰」は4.7%だった。「不足」の割合は、2017年実績と比べて2.8ポイント上昇。業種別では、「運送業」(83.5%)、「建設業」(74.7%)、「情報通信業」(72.7%)などで、「不足」と回答した割合が高い。

 一方、2018年12月における非正社員の過不足感については、全業種計で、「不足」との回答割合が40.0%となった。「適正」との回答割合は55.1%、「過剰」は4.9%となっている。「不足」の割合は、2017年実績と比べて0.4ポイント上昇した。業種別にみると、「宿泊・飲食サービス業」(67.4%)、「サービス業」(48.7%)、「運送業」(48.0%)で、「不足」と回答した割合が高い。

 人手不足の影響についてみると、「売上機会を逸失」(37.3%)と回答した企業割合が最も高く、次いで「残業代、外注費等のコストが増加し、利益が減少」(29.1%)、「納期の長期化、遅延の発生」(13.8%)となっている。人手不足への対応についてみると、「従業員の多能工化」(41.8%)が最も高く、次いで「残業を増加」(38.6%)、「業務の一部を外注化」(33.8%)となっている。

 2018年12月の正社員の給与水準をみると、前年と比べて「上昇」と回答した企業割合は、57.4%。賃上げ企業割合は2年連続で上昇した。2019年見通しをみると、前年より「上昇」すると回答した企業割合は51.8%と、引き続き半数を上回っている。2018年の実績を業種別にみると、「製造業」(61.7%)、「建設業」(58.5%)、「サービス業」(57.7%)などで「上昇」と回答した割合が高くなっている。

 正社員の給与水準上昇の背景についてみると、全業種計では、「自社の業績が改善」と回答した企業割合が36.2%と最も高く、次いで「採用が困難」(25.4%)、「同業他社の賃金動向」(12.4%)が続いた。業種別にみると、「自社の業績が改善」と回答した企業割合は、「業務用機械」(56.3%)、「不動産業」(53.7%)などで高い。「採用が困難」は、「倉庫業」(50.0%)、「水運業」(42.9%)、「宿泊・飲食サービス業」(41.0%)などで高くなっている。

 同調査結果は↓

https://www.jfc.go.jp/n/findings/pdf/tokubetu_190226.pdf