中小企業の約7割が省エネなどの脱炭素に取り組む

 東京商工会議所が発表した「中小企業の省エネ・脱炭素に関する実態調査」結果(有効回答数2139社)によると、エネルギー価格上昇により、約9割(88.1%)の企業が経営に影響を受けている。「影響は深刻で、今後の事業継続に不安がある」とする企業も約1割(9.2%)ある。業種別では、運輸業で「今後の事業継続に不安がある」が23.5%と高く、「他のコスト削減等で吸収しきれない」(59.3%)と合わせると8割超(82.8%)に達する。

 エネルギー価格上昇に対する取組み(複数回答)については、「自社製品・サービスの値上げ(エネルギー価格上昇分の価格転嫁)」を行った企業が約4割(42.8%)で最も多く、次いで、「省エネ型設備への更新・新規導入」(37.0%)、「運用改善による省エネの推進」(33.5%)など、省エネに取り組む企業が多く、「エネルギー以外のコスト削減」も3割超(35.6%)となっている。

 エネルギー価格上昇分の価格転嫁については、半数以上(51.8%)の企業が「転嫁できている」と回答。価格転嫁できている割合は、「一部転嫁(4~6割程度)」が最多(33.8%)となっている。「影響は深刻で、事業継続が不安」と回答した企業に限ると、「ほとんど・全く価格転嫁できていない」との回答が合わせて55.8%と半数を超える。「建設業」 および「製造業」で、「価格転嫁できている」との回答が約6割と高い。

 脱炭素に関する取組み(複数回答)は、「取組みを行っていない」との回答は約3割(28.6%)で、中小企業においても、約7割(71.4%)が脱炭素に関する何らかの取組みを実施している。「省エネ型設備への更新・新規導入」(40.0%)や「運用改善による省エネの推進」(38.0%)など、省エネに関する取組みが多く、「エネルギーの使用量・温室効果ガス排出量の把握・測定」も4社に1社(25.0%)となっている。

 脱炭素に関する取組みの上位3項目について従業員規模別でみると、従業員規模が大きいほど「取り組んでいる」との回答が多い。業種別では、「省エネ型設備への更新・新規導入」に取り組んでいると回答した企業は、「宿泊・飲食業」(51.9%)、「製造業」(50.1%)で約半数に達し、他の業種に比べ多い。「エネルギー使用量・温室効果ガス排出量の把握・測定」は、「製造業」で4割(40.3%)と他の業種の2倍以上となっている。

 脱炭素に取り組む理由・目的(複数回答)では、「光熱費・燃料費の削減」が75.2%と最多、次いで「企業としての評価や知名度の維持・向上」(30.5%)、「ビジネス環境の変化や技術革新への対応」(25.6%)など、企業ブランディングや経営革新につなげようとする動きもある。脱炭素の取組みを行っている企業では、「評価や知名度の維持・向上」、ビジネス環境の変化や技術革新への対応」、「取引維持・拡大」を理由に挙げる割合が顕著に高い。

 同調査結果は

https://www.tokyo-cci.or.jp/file.jsp?id=1203365