SDGsの取組み、7割の企業が重要性理解し「前向き」

 東京商工リサーチが発表した「SDGsに関するアンケート調査」結果(有効回答数4963社)によると、2015年に国連加盟国が採択したSDGs(持続可能な開発目標)について、重要性を認識している企業が7割に達することが分かった。一方、SDGsの取組みを重要と思わない企業は1割未満にとどまり、認知度は広がっている。 取り組む意義では、「企業イメージの向上」が7割を超え、ブランディング戦略の一環として捉えている企業も少なくない。

 SDGsの「重要性を理解しており、現在取り組んでいる」と回答した企業は、全企業の40.8%を占めた。「重要性を理解しているが、現在取り組んでおらず、今後取り組みたいと思っている」企業は29.2%で、合計70.1%の企業が前向きにとらえている。一方、「重要性を理解しているが、現在取り組んでおらず、取り組む予定もない」と回答した企業は21.4%、「重要とは思わない」と回答した企業は8.4%にとどまった。

 規模別にみると、SDGsに対して「現在取り組んでいる」と回答した企業は、大企業が64.0%(518社中、332社)に対し、中小企業は38.1%(4445社中、1697社)で、25.9ポイントの差があった。次いで、「今後取り組みたい」と回答した企業は、大企業が23.5%(122社)に対し、中小企業は29.9%(1329社)だった。大企業ほどSDGsへの取組みは積極的で、経営資源や業績の差が影響しているとみられる。

 産業別では、SDGsに「取り組んでいる」との回答が最も高かったのは、「金融・保険業」の62.2%。次いで「農・林・漁・鉱業」の47.3%、「製造業」の45.8%が続く。金融や保険業ではSDGs債の発行など、他業種よりもビジネスにつながっているほか、企業イメージのアップが影響しているようだ。一方、「取り組む予定はない」との回答が最も高かったのは「情報通信業」で25.9%、次いで「不動産業」が25.4%で続いた。

SDGsに取り組む意義については、最多が「企業イメージの向上」の71.9%。次いで、「従業員のモチベーションの向上」が51.7%、「経営方針の明確化」45.8%と続く。規模別では、「採用活動におけるプラスの効果」が大企業の39.6%に対し、中小企業は26.3%にとどまり、大企業が中小企業を13.3ポイント上回った。SDGsの取組みのアピールで、企業イメージを向上させて人材確保につなげたい意図も見える。

 一方、「補助金や助成金の採択増加」は、大企業が4.1%、中小企業が11.0%。また、「金融機関からの融資の際の優遇や債券の発行支援」は大企業5.5%、中小企業7.7%で、それぞれ中小企業が大企業を上回った。大企業は人材確保への期待、中小企業は金融面の支援への期待が強く、規模により特徴が出た格好だ。

 同調査結果は

https://www.tsr-net.co.jp/data/detail/1198687_1527.html