パチンコ経営、黒字企業が半数超えるも二極化鮮明に

 パチンコホール運営業者にとって2023年は、コロナ禍で悪化した事業環境が改善した1年だった。特に新しくリリースされたスマートパチスロ(スマスロ)のヒットにより、遊技を楽しむファンがホールに戻るなど集客に苦戦していたホールの救世主ともなったが、業界全体からみればコロナ禍で大幅に落ち込んだ来客者数の改善は一部の業者に限られ、ファン離れの傾向は、業界が抱える大きな課題の一つとして積み残されたままだ。

 帝国データバンクが発表した「パチンコホール経営法人の実態調査」結果によると、2023 年、売上が判明したパチンコホール経営法人数は1336社となった。2018年の2192社から 5年間で約40%減少した。2023年の総売上高は11兆1525億円となり、対前年比で1.9%減少。コロナ禍の2021年は、休業要請等、通常通りの営業活動ができなかったことで同23.6%の大幅減少となったが、経済活動が回復するにつれて減少幅は縮小している。

 社数が大幅に減少する一方、総売上高が微減にとどまるのは、店舗の売却・買収が進み運営法人の淘汰の進展、コロナ禍の収束やスマスロのヒットで売上を回復させている業者が一定数あることが考えられる。2023年の損益が判明したパチンコホール経営法人の損益状況をみると、黒字企業の割合が52.5%となった。コロナ禍で業績が悪化し、2021年には約6割の法人が赤字だったが、業績は徐々に回復し、3年ぶりに黒字法人が過半数を超えた。

 2023年、パチンコホールの倒産は前年比で30%減少。コロナ禍では、緊急事態宣言の発出による営業自粛や風評被害などから事業環境が悪化していたが、行動制限が解除されてから多くのホールが業績を回復させたことが、倒産法人が減少した要因の一つと言える。しかし、2024年は廃業が増加、淘汰が進む可能性がある。多額の設備投資が不可欠となるため、手元資金の有無が業績の明暗を分け、二極化が鮮明となる一年になりそう。

 2004年に多額の設備投資が不可欠となるのは、スマスロだけでなくスマパチでも話題の台が多くリリースされるほか、7月に予定されている新紙幣の発行によりホール事業者はサンド(貸出機)識別機の交換、新しいサンドの購入に迫られることになるからだ。長年にわたるパチンコ・パチスロ需要の減少によって資金繰りに余裕のあるホール運営法人は少なく、新たな資金調達の可否が鍵となりそうだ。

 ガイアの民事再生を契機として金融機関のなかには、パチンコホールに対する見方をさらに厳しくするといった声もある。業界としては、条例などの制限から起死回生の一手を打てない状況に置かれるケースも少なくない。そのなかで、業績回復、ファン獲得のために何ができるのか。時代に即した対応を素早く講じることがポイントとなるとみられている。

 同調査結果は

https://www.tdb.co.jp/report/watching/press/pdf/p240606.pdf