今年の通常国会で成立した「所有者不明土地の利用の円滑化等に関する特別措置法」の施行の日を定める政令が11月6日に閣議決定された。同特措法は、所有者不明土地が公共事業を進めていくうえで障害となっていることから、公共事業の実施を目的に、所有者不明土地を円滑に利用するための手続きや、土地所有者を探索するため固定資産税課税台帳や地籍調査票等を行政機関が利用できる制度の創設等を定めたもの。
人口減少・高齢化の進展に伴う土地利用ニーズの低下などによる土地の所有意識の希薄化等で、不動産登記簿等の公簿情報等により調査してもなお所有者が判明しない又は判明しても連絡がつかない所有者不明土地が増加しており、公共事業の推進等の様々な場面において円滑な事業実施に支障が生じている。このような課題に対応するため、同特措法は本年6月6日に国会で成立し、同月13日に公布された。
各制度の施行期日をみると、土地の所有者探索のために必要な公的情報を行政機関が利用できる制度及び長期間、相続登記等がされていない土地を登記官が長期相続登記等未了土地である旨等を登記簿に記録すること等ができる制度、所有者不明土地の適切な管理のために特に必要がある場合に、地方公共団体の長等が家庭裁判所に対し財産管理人の選任等を請求可能にする制度などの施行日を今年11月15日とした。
なお、すでにこの3月に成立している2018年度税制改正では、個人が所有者不明土地の特措法の施行の日から2021年3月31日までの間に、相続による所有権の移転登記を受ける場合に、(1)その土地が相続による所有権の移転登記の促進を特に図る必要があるものとして政令で定めるものであり、(2)土地の価額が10万円以下、の両要件を満たしたときは、相続による所有権の移転登記に対する登録免許税を免税にする措置が規定されている。
また、相続により土地の所有権を取得した者がその土地の所有権の移転登記を受けないで死亡し、その者の相続人等が2018年4月1日から2021年3月31日までの間に、その死亡した者を登記名義人とするために受けるその移転登記に対する登録免許税を免税とする。例えば、祖父から親、親から子への土地相続で、祖父から親への相続登記が未了のまま親が死亡したときには、祖父から親への相続登記に係る登録免許税が免除される。
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