23年度倒産発生率は0.257%、9地区全て発生率上昇

 コロナ禍が落ち着くと同時に、円安、物価高、人件費上昇などのコストアップが企業にのしかかり、中小企業の倒産が増勢を強めている。東京商工リサーチが発表した「倒産発生率(普通法人)調査結果によると、2023年度の倒産発生率は0.257%で、前年度から0.061ポイント悪化した。2021年度を底に2022年度0.196%、2023年度0.257%と悪化をたどり、2023年度は2014年度以降の10年間で、2016年度(0.260%)に次ぐ4番目の高さだ。

 都道府県別は、悪化が45都道府県(前年度40都道府県)で、改善は2県(同7県)だった。倒産発生率ワーストは、「島根県」の0.374%(同0.249%)。前年度は3位でワーストは2020年度以来、3年ぶり。2位は「秋田県」0.366%(同0.242%、6位)、3位が「宮城県」(同0.252%、2位)と「群馬県」(同0.186%、25位)の各0.339%、5位が「岩手県」0.326%(同0.210%、13位)の順だった。

 一方、倒産発生率が最も低かったのは、前年度46位の「沖縄県」の0.138%(前年度0.097%)。倒産発生率の改善は、「福井県」(0.177から0.171%)と「長崎県」(0.222から0.139%)の2県。倒産発生率の悪化幅では、最大は「群馬県」の前年度比0.153ポイントアップ(0.186から0.339%)。次いで、「山形県」の同0.128ポイントアップ(0.183から0.311%)、「島根県」の同0.125ポイントアップ(0.249から0.374%)と続く。

 地区別では、2014年度以降の10年間で初めて9地区全て悪化した。地区別ワーストは、「東北」の0.307%(前年度0.214%)で、9地区のうち、唯一の0.3%台。以下、「近畿」0.269%(同0.207%)、「関東」0.263%(同0.201%)、「中国」0.258%(同0.169%)、「中部」0.248%(同0.207%)の順。2022年度は、倒産発生率が0.200%以上は5地区だったが、2023年度は9地区全てとなった。

 産業別の倒産発生率では、2年連続で10産業全て悪化した。産業別ワーストは「運輸業」の0.482%(前年度0.361%)で、前年度より0.121ポイント悪化した。ドライバーの時間外労働の上限規制など「2024年問題」が迫る前から、ドライバー不足と燃料費の高騰で、3年連続で倒産発生率が上昇した。次いで、「卸売業」が0.402%(同0.320%)で、この2産業が0.4%台に乗せた。

 「卸売業」は、円安による仕入や人件費などのコストアップに価格転嫁も追い付かず、倒産が増加した。このほか、「情報通信業」0.394%(前年度0.294%)、「建設業」0.310%(同0.218%)と続く。「情報通信業」は、自治体などの積極的な創業支援を背景に、ソフトウェア業など過小資本の起業が少なくない。業歴が浅いうえ、資産背景もぜい弱なことから、コロナ禍の環境変化に対応できなかったようだ。

 同調査結果は

https://www.tsr-net.co.jp/data/detail/1198626_1527.html