必要人数を確保できなかった企業割合は過去最高値に

 リクルートワークス研究所が従業員規模5人以上の民間企業を対象に実施した「中途採用実績調査」結果(有効回答数4132社)によると、2023年度下半期における中途採用活動の実施割合は、「実施した・実施中」は全体で79.5%、「実施しなかった」は全体で20.5%となった。「実施した・実施中」の割合は、2021年度下半期から上昇を続け、今回の2023年度下半期には比較可能な2013年度下半期以降で最高値となった。

 業種別にみると、「機械器具製造業」(86.5%)、「運輸業」(85.7%)、「飲食店・宿泊業」(84.0%)をはじめ、さまざまな業種で「実施した・実施中」の割合が高く、最も低い「教育・学習支援業」でも57.5%だった。従業員規模別にみると、「5~299人」企業で70.7%、「300~999人」企業で85.5%、「1000~4999人」企業で91.2%、「5000人以上」で95.9%と、従業員規模が大きいほど実施割合が大きくなっている。

 2023年度下半期の中途採用において、必要な人数を「確保できた」企業は45.5%、「確保できなかった」企業は53.2%であり、「確保できなかった」と回答した企業の割合は前年度から+0.5%ポイントと微増し、過去最高値となった。「確保できた」企業の割合と「確保できなかった」企業の割合の差(中途採用確保DI)は、-7.7%ポイントで、この数値は、比較可能な2013年度下半期以降、最も低い値だ。

 業種別にみると、中途採用確保DIがプラスになっているのは「教育・学習支援業」(+44.0%ポイント)、「不動産業」(+17.8%ポイント)、「金融・保険業」(+16.8%ポイント)、「小売業」(+2.5%ポイント)であり、その他の業種では「確保できなかった」企業が多かった。特に「飲食店・宿泊業」では-26.4%ポイント、「医療・福祉」では-24.9%ポイントと採用難度が高い状況だった。

 2023年度下半期に中途採用を実施した企業の中途採用の目的(複数回答)は、「離職への対応」が70.7%、「即戦力人材の獲得」が69.5%、「採用未充足への対応」が64.0%と高かった。一方、「社内にない専門性の獲得」は18.2%、「多様な価値観をもつ人材の獲得」は17.3%、「女性リーダー層の獲得」は7.2%と相対的に低い値となった。全体的に、人材獲得および定着が難しいことへの対応としての中途採用であることがうかがえる。

 2025年4月の新卒採用と2024年度の中途採用の割合について、前年との比較では、「割合は変更しない予定」が多く、次いで「わからない」が多かった。割合を変更する中では、「新卒採用を増やす予定」が11.1%、「中途採用を増やす予定」が14.7%と、「中途採用を増やす予定」が3.6%ポイント高かった。ただし、2025年卒の新卒採用の求人数は増加しており、中途採用割合を増加させても、新卒採用を縮小させるわけではないことが分かる。

 同調査結果は

https://www.works-i.com/research/works-report/item/240606_midcareer.pdf