24年度に「賃上げを実施予定」企業は74.3%と7割超

 東京商工会議所が発表した「中小企業の賃金改定に関する調査」結果(有効回答数1979社)によると、2024年度に「賃上げを実施(予定含む)」と回答した企業は74.3%と7割を超え、1月調査(61.3%)から13.0ポイント増えた。中小企業においても賃上げへの取組みが進む。うち「業績の改善がみられないが、賃上げを実施予定」は59.1%で、1月調査(60.3%)から1.2ポイント減少も、依然6割近くが「防衛的な賃上げ」だった。

 従業員数20人以下の企業では、「賃上げを実施(予定含む)」は63.3%と全体より11ポイント低く、「防衛的な賃上げ」の割合は64.1%と5ポイント高い。中小企業の中でも、規模の小さな事業所では、賃上げの動きやや鈍く、厳しい状況がうかがえる。「賃上げを実施(予定含む)」との回答割合は、「卸売業」(81.5%)、「製造業」(80.2%)で8割を超え、最も低い「医療・介護・看護業」で5割強(52.5%)と全業種で半数以上が賃上げをする。

 正社員の「賃上げ額(月給)」は加重平均で9662円、「賃上げ率」は3.62%。従業員数20人以下の企業では8801円、3.34%。「5%以上の賃上げ」は2割強(「全体」24.7%、「20人以下」23.5%)、「4%以上の賃上げ」は3割強(「全体」35.8%、「20人以下」32.3%)だった。業種別では、「その他サービス業」(4.57%)、「小売業」(4.01%)で4%台と高く、「運輸業」(2.52%)、「医療・介護・看護業」(2.19%)は2%台にとどまる。

 賞与・一時金を「昨年度を上回る水準で支給(予定含む)」とする企業は、2割強(23.9%)、「昨年度並みに支給(予定を含む)」は約4割(39.2%)のほか、「支給するが、水準は未定」が15.0%、「支給しない(予定を含む)」が4.7%などだった。業種別では、「医療・看護・介護業」(33.3%)、「卸売業」(31.9%)、「情報通信・情報サービス業」(30.8%)で3割を超える一方、「宿泊・飲食業」(18.9%)では2割にとどかない。

 パート・アルバイトの「賃上げ額(時給)」は加重平均で37.6円、「賃上げ率」は3.43%。従業員数20人以下の企業では、43.3円、3.88%。「5%以上の賃上げ」は3割近く(「全体」27.5%、「20人以下」29.7%)、「4%以上の賃上げ」は4割超(「全体」43.6%、「20人以下」46.4%)と、大幅な賃上げを行う企業の割合が高い。業種別では、「医療・介護・看護業」(4.86%)、「運輸業」(4.67%)で4%台後半と高い賃上げ率だった。

 同調査結果は

https://www.jcci.or.jp/file/sangyo2/202406/20240605_survey_release.pdf