下請法違反で下請企業への返還金額37.3億円と高水準

 中小企業者等に対する下請取引においては、親事業者の下請法違反行為により下請事業者が不利益を受けている場合であっても、下請事業者からの自発的な情報提供が期待しにくい実態にある。このため、公正取引委員会では、親事業者及び当該親事業者と取引のある下請事業者を対象に定期的な書面調査を実施するなどして、違反行為の発見のために積極的な情報収集に努めている。

 公取委が公表した下請取引の運用状況によると、2923年度の下請法違反行為に対する勧告件数は13件(2022年度6件)だった。勧告の対象となった違反行為類型の内訳については、「下請代金の減額」が6件、「返品」が2件、「買いたたき」が1件、「購入等強制」が3件、「不当な経済上の利益の提供要請」が4件、「やり直し等」が1件となっている。また、2023年度の指導件数は8268件(同8665件)だった。

 下請事業者が被った不利益の原状回復の状況をみると、2023年度においては、下請事業者が被った不利益について、親事業者174社から、下請事業者6122社に対し、下請代金の減額分の返還等、総額37億2789万円相当の原状回復が行われた。統計で比較可能な2008年度以降、2012年度の約57億円に次いで過去2番目に多い金額で11年ぶりの高水準となった。2022年度の返還額は11億3465万円だった。

 公取委は、親事業者の自発的な改善措置が、下請事業者が受けた不利益の早期回復に資することに鑑み、公取委が調査に着手する前に、違反行為を自発的に申し出、かつ、下請事業者に与えた不利益を回復するために必要な措置等、自発的な改善措置を採っているなどの事由が認められる事案については、親事業者の法令遵守を促す観点から、勧告するまでの必要はないものとして取り扱うこととし、この旨を公表している。

 2023年度においては、上記のような親事業者からの違反行為の自発的な申出は39件だった。また、同年度に処理した自発的な申出は39件だった。2023年度においては、親事業者からの違反行為の自発的な申出により、下請事業者2158社に対し、下請代金の減額分の返還等、総額7770万円相当の原状回復が行われている(上記の全体の返還金額に含まれている)。

 この件は

https://www.jftc.go.jp/houdou/pressrelease/2024/jun/240605.html