顧客折衝があるサービス職の35.5%がカスハラ被害

 近年、顧客による理不尽な要求や威圧的な言動が深刻化し、カスハラの問題が社会的な注目を集めている。パーソル総合研究所が、過去3年以内にカスタマーハラスメント(カスハラ)を受けた被害経験者3000人を対象に実施した「カスタマーハラスメントに関する定量調査」結果によると、顧客折衝があるサービス職の35.5%が過去に顧客からのカスハラ・嫌がらせを受けた経験があり、20.8%が3年以内に被害経験があったことが分かった。

  3年以内のカスハラ経験率が最も高い職種は「福祉系専門職員(介護士・ヘルパーなど)」(34.5%)。2位以降は「顧客サービス・サポート」(30.7%)、「受付・秘書」(30.0%)、「医療系専門職員(医師・看護師など)」(28.9%)と続いた。職種別にカスハラ経験率と離職率をマップ化すると、「福祉職(介護士・ヘルパーなど)」、「宿泊サービス」、「受付・秘書」は経験率と離職率がともに高い。

 性年代別では、男女ともに「若年層」のカスハラ経験率が高い。雇用形態別では、「自営業」のカスハラ経験率が高く、27.6%。3年以内に、顧客から口コミサイトやSNSで嫌がらせの投稿をされた経験は34.2%。カスハラが起こった場面では、「普段就業している場所」(68.1%)が最も多い。被害内容は、「暴言や脅迫的な発言」(60.5%)が最も多く、「威嚇的・乱暴な態度」(57.7%)、「何度も電話やメールを繰り返す」(17.2%)と続く。

 会社側の対応は、「嫌がらせの被害を認知していたが、何も対応はなかった」が36.3%で最も多い。「認知なし」も19.3%。会社側から対応があった場合は、「事実確認のためのヒアリング」(44.5%)が最も多い。被害を相談した被害者の25.5%が社内でのセカンド・ハラスメントを経験し、その内容は、会社や上司から「ひたすら我慢することを強要された」(11.0%)、「軽んじられ、相手にしてもらえなかった」(8.9%)などだった。

 カスハラを受けた直後の心境については、「出勤が憂うつになった」が45.4%で最も多く、次いで「仕事を辞めたいと思った」が38.0%で続いた。また、「次の転職時は顧客やり取りのない仕事につきたい」と感じた者も37.5%いた。1年以内の「カスハラ経験あり層」と「なし層」を比べたところ、「あり層」は転職意向が1.8~1.9倍高く、また、年間の平均離職率は1.3 倍高い傾向が見られた。

 企業の取組みについて、従業員が認知しているカスハラ予防・解決策は、「実施されていない」(43.0%)が最も多いが、取り組んでいる会社では、「社内に相談窓口を設置」(47.5%)、「クレームやハラスメントの事例を社内で共有」(39.5%)が多い。カスハラ対策・予防施策のギャップについて、従業員の期待度に対して企業の実施率が低い項目は、「電話応答での自動録音」、「対外的な方針・態度の公表、名札のフルネーム表記廃止」などだった。

 同調査結果は

https://rc.persol-group.co.jp/assets/files/202406050001.pdf