野村総合研究所が発表した「賃上げによる収入増加の実態と就労・消費への影響調査」結果(有効回答数2680人)によると、回答者のうち、今年これまでに勤め先の賃上げによって「収入が増えた」と回答した人は33.3%だった。収入増はまだ実現していないものの今年中に勤め先の賃上げによって「収入が増える予定がある」と回答した人は12.1%で、両者をあわせた「今年中に勤め先の賃上げで収入が増える人」は45.4%だった。
今年これまでに賃上げで収入が増加した就労者のうち53.5%が、賃上げによって収入が増えたことで働くモチベーションが上がったと回答(「上がった(12.5%)」と「やや上がった(41.0%)」の合計)。また、36.7%が、賃上げで自身の収入が増えたことにより今後の暮らし向きは良くなると思うと回答。賃上げが、働くモチベーションの向上や今後の暮らし向き改善への期待につながっている様子がうかがえた。
今後の消費意向は、今年これまでに賃上げで収入が増加した就労者の場合、「積極的に消費活動をしたい」は6.4%、「どちらかといえば、積極的に消費活動をしたい」が34.6%で、消費活動に積極的である人の割合は合計41.0%。一方、今年中に賃上げで収入が増加する予定のない就労者では、「積極的に消費活動をしたい」は4.9%、「どちらかといえば、積極的に消費活動をしたい」が20.8%で、積極的である人は合計25.7%にとどまった。
野村総研は、「本調査からは、今年中に賃上げで収入が増加する予定のない就労者よりも、今年これまでに賃上げで収入が増加した就労者の方が、今後の消費活動に積極的である人の割合が高い傾向が、正規雇用者と非正規雇用者の両方にみられるという結果も得られている。以上のことより、賃上げが今後の積極的な消費活動につながる可能性がうかがえる」としている。
なお、今年これまでに賃上げで収入が増加した就労者で、かつ今後の消費活動にも積極的な人に、積極的にお金を使いたいもの(複数回答)を聞いたところ、最も多かったのが「旅行・レジャー」(59.3%)、次いで「趣味」(46.2%)、「外食」(40.8%)であり、増えた収入が「預金・貯金」(42.8%)や「投資」(40.3%)以外にもさまざまな消費に回る可能性がうかがえた。
同調査結果は