貸家の敷地の用に供されている貸家建付地の評価は

 貸家建付地とは、貸家の敷地の用に供されている宅地、例えば、その宅地の所有者が建築したアパートやビルなどを他に貸し付けている場合の、その敷地である宅地をいう。貸家建付地の評価の対象となる宅地は、借家権の目的の家屋の敷地の用に供されている宅地をいうので、例えば、一般的に借地借家法の適用がないとされている「社宅」の敷地にされている宅地は、貸家建付地の評価は行わず、自用地としての価額で評価することになる。

 貸家建付地の価額は、「自用地としての価額-自用地としての価額×借地権割合×借家権割合×賃貸割合」の算式で求めた金額により評価する。「借地権割合」および「借家権割合」は、国税庁ホームページ「財産評価基準書 路線価図・評価倍率表」で確認できる。また、「賃貸割合」は、貸家の各独立部分(構造上区分された数個の部分の各部分をいう)がある場合に、その各独立部分の賃貸状況に基づいた算式で計算した割合をいう。

 その賃貸割合は、「Aのうちの課税時期において賃貸されている各独立部分の床面積の合計÷当該家屋の各独立部分の床面積の合計(A)」の計算式で求める。この算式における「各独立部分」とは、建物の構成部分である隔壁、扉、階層(天井および床)等によって他の部分と完全に遮断されている部分で、独立した出入口を有するなど独立して賃貸その他の用に供することができるものをいう。

 また、継続的に賃貸されていたアパート等の各独立部分で、例えば、下記のイ.からニ.に掲げるような事実関係から、アパート等の各独立部分の一部が課税時期(相続または遺贈の場合は被相続人の死亡の日、贈与の場合は贈与により財産を取得した日)において一時的に空室となっていたにすぎないと認められるものについては、課税時期においても賃貸されていたものとして認められる。

 上記の事実関係とは、イ.各独立部分が課税時期前に継続的に賃貸されてきたもの、ロ.賃借人の退去後速やかに新たな賃借人の募集が行われ、空室の期間中、他の用途に供されていない、ハ.空室の期間が、課税時期の前後の例えば1ヵ月程度など、一時的な期間である、ニ.課税時期後の賃貸が一時的なものではないことだ。なお、貸家建付地の価額は、「土地及び土地の上に存する権利の評価明細書」を使用して評価することができる。