5年前と比べデジタル化進んでいる中小企業が約7割

 日本政策金融公庫が発表した「中小企業のデジタル化に関する調査」結果(有効回答数4350社)によると、5年前と比較したデジタル化の状況は、「かなり進んでいる」(13.5%)、「やや進んでいる」(56.1%)の合計は69.6%となった。また、現在のデジタル化への取組み方針をみると、「かなり積極的に取り組んでいる」(4.9%)、「積極的に取り組んでいる」(42.7%)の合計は47.6%となった。

 デジタル化に取り組んでいる企業のデジタルツールの導入状況は、「ホームページ、SNS」(88.5%)、「会計システム」(86.9%)、「Web会議システム」(68.3%)、「販売管理システム」(62.1%)、「勤怠・労務管理システム」(58.4%)を導入している割合が高かった。「ECサイト」、「物流管理システム」、「RPA(業務自働化)」「AI(人工知能)」については、導入しておらず導入予定もない割合が過半を占めている。

 デジタルツールの導入による業績全体へのプラスの影響をみると、「期待以上の成果があがっている」が4.4%、「期待どおりの成果があがっている」が50.0%。デジタルツールの導入による具体的な成果は、「業務の効率化」や「業務の標準化」では、「期待以上の成果があがっている」、「期待どおりの成果があがっている」の合計が過半を占めている。「人手不足の解消」については、「期待したほどの成果はあがっていない」が46.9%だった。

 デジタル化の課題をみると、「導入コストの負担が大きい」が56.2%で最も多く、次いで「費用対効果を測ることが難しい」(50.0%)、「維持コストの負担が大きい」(40.2%)などが挙げられた。また、デジタル化の相談相手をみると、「ITベンダー」が39.8%と最も多く、次いで「税理士・公認会計士」(28.7%)、「経営者仲間」(18.2%)などだった。他方、「相談した先はない」が17.4%あった。

 デジタル化を主導する人材について、現在の仕事量やその見通しからみた過不足感は、「かなり少ない」(38.4%)が最も多く、次いで「やや少ない」(31.0%)となり、人手不足が課題となっていることがうかがえる。デジタル化を主導する人材を確保するための取組みでは、「既存従業員の教育」が34.6%と最も多く、次いで「人材の中途採用」(24.2%)、「ITベンダー等の活用」(20.6%)の順。他方、「特になし」は35.8%だった。

 今後5年間のデジタル化への取組み方針をみると、「かなり積極的に取り組む予定である」が6.8%、「積極的に取り組む予定である」が50.3%。従業者規模別にみると、「かなり積極的に取り組む予定」、「積極的に取り組む予定」は規模の大きい企業ほど多くなっている。現在のデジタル化への取組み方針別にみると、積極的に取り組んでいる企業ほど、今後5年間も積極的にデジタル化に取り組む傾向がみられる。

 同調査結果は

https://www.jfc.go.jp/n/findings/pdf/tokubetu_240524.pdf