帝国データバンクが発表した「人手不足に対する企業の動向調査」結果(有効回答数1万1222社)によると、2024年4月時点における全業種の従業員の過不足状況は、正社員が「不足」と感じている企業の割合は51.0%だった。毎年4月は新卒新入社員が入社することで人手不足が緩和される傾向があるが、前年同月比でもわずか0.4ポイントの低下にとどまり、高止まりが続いている。
また、非正社員では30.1%で、前年同月から0.6ポイント低下し、正社員と同様の傾向がみられた。正社員の人手不足割合を業種別にみると、主にIT企業を指す「情報サービス」が71.7%でトップ。18ヵ月連続で7割以上と高水準が続いている。また、活況なインバウンド需要がみられるなかで「旅館・ホテル」も71.1%で深刻な人手不足がみられる。その他、「建設」(68.0%)、「自動車・同部品小売」(64.9%)など6業種が6割台となった。
非正社員の人手不足割合を業種別にみると、「飲食店」が74.8%となった。引き続き高水準は変わらないものの、前年同月から10.4ポイント低下と人手不足の緩和がみられた。次いで「旅館・ホテル」(63.8%)も高水準で続いたが、「飲食店」と同様の傾向で大幅に低下している。以下、「各種商品小売」(60.8%)など、小売・サービス業を中心に個人向け業種が上位に並んだ。
2024年3月には訪日外国人が初の 300万人を突破するなど、行動制限のない「ポストコロナ」が到来してから1年が経過し、旅行需要は活況だ。そうしたなか、「旅館・ホテル」は正社員において71.1%の企業が人手不足となり、深刻な状況が続いている一方で、8割に迫る水準まで上昇していた人手不足割合は2023年と比較して低下しており、2024年以降は7割前後で推移。他業種と比較して高水準には変わりはないが、低下傾向に転じた。
「飲食店」においても非正社員では74.8%と引き続き高水準だが、8割を上回っていた2023年から低下し、「旅館・ホテル」と同様の傾向がみられた。両業種ともに低下したものの、人手不足を感じている企業のなかで従業員数の変化をみると傾向はさまざまで、正社員が増加した割合はいずれも2割台にとどまった。こうした従業員数の増加が、両業種の非正社員の人手不足割合が前年同月から 10 ポイント以上低下した背景にあるといえよう。
同調査結果は