繰延資産となる公共的施設などの負担金の償却期間

 繰延資産とは企業や個人事業主が支出した費用のうち、支出の効果が1年以上に及ぶ商品やサービスを資産として処理するものをいうが、法人が便益を受ける公共的施設の設置や改良のために支出する費用で支出の効果がその支出の日以後1年以上に及ぶものも、繰延資産となる。将来にわたって効果があるため、まとめて経費にするのではなく、一時的に貸借対照表の資産と計上して処理することが認められている。

 公共的施設などの負担金は、(1)自己の必要に基づいて行う道路、堤防、護岸、その他の施設または工作物などの「公共的施設」の設置や改良のために要する費用、(2)自己が利用する公共的施設の設置等を国や地方公共団体が行う場合のその設置等に要する費用の一部の負担金、(3)自己の所有する道路その他の施設や工作物を国や地方公共団体に提供した場合のその道路その他の施設や工作物の価額に相当する金額がこれに当たる。

 さらに、(4)国や地方公共団体の行う公共的施設の設置等により著しく利益を受ける場合のその設置等に要する費用の一部の負担金。ただし、公共的施設の設置等により土地の価格上昇によって、土地所有者や借地権者である法人が国や地方公共団体に納付するものは、土地の取得価額に算入することになる。(5)鉄道業を営む法人の行う鉄道の建設に当たり支出するその施設に連絡する地下道などの建設に要する費用の一部の負担金、が該当する。

 また、繰延資産となる公共的施設の設置等のために支出する費用やその負担金の償却期間は、(1)公共的施設の費用を負担した法人が、専らその施設を使用する場合は、その施設の耐用年数の10分の7に相当する年数、(2)上記(1)以外の場合は、その施設の耐用年数の10分の4に相当する年数となる。これらの償却期間に1年未満の端数があるときは、その端数を切り捨てる。

 償却限度額は、繰延資産の額を償却期間の月数で割ったものに、その事業年度の月数を掛けて計算した金額となる。ただし、事業年度の中途での支出の場合は、「その事業年度の月数」は支出の日から事業年度末までの月数となる。なお、繰延資産の償却費を損金算入する場合には、確定申告書に繰延資産の償却額の計算に関する明細書(別表16(6))を添付する必要がある。