結婚相談所の倒産増加、2023年は11件と過去最多に

 結婚相手を紹介する「結婚相談所」の倒産が相次いで発生している。帝国データバンクが発表した結婚相談所の倒産・休廃業解散動向によると、2023年に発生した結婚相談所の倒産は、合計11件となった。年間の倒産件数として初めて10件を超え、過去最多を更新した。休廃業・解散となった件数(11件)も過去最多の水準となり、倒産と合わせて年間20を超える結婚相談所が市場からの退出を余儀なくされた。

 結婚相談所では近年、少子高齢化や晩婚化など多様なライフスタイルの定着に加え、オンライン上で恋人や結婚相手を探す「マッチング(婚活)アプリ」の定着が大きな脅威となっている。明治安田生命が昨年10月に実施した調査では、夫婦の出会いのきっかけとして、1年以内に結婚した夫婦のうち4人に1人(25%)が「マッチングアプリ」を利用していた。

 結婚相談所でもオンラインで面談の活用や、婚活パーティーなどのリアルイベント企画を積極的に行っているものの、イベントの告知などで多額の広告費が必要な一方、結婚相談所が提供する基本的なサービス内容では他社との差別化がしづらく、入会金や登録料などで価格競争が発生しやすいことも、結婚相談所で倒産が相次いだ要因となっている。

 ただ、足元ではアプリ利用者の急増に伴い写真をめぐるトラブルやミスマッチングも多く、身元が保証された会員同士を結ぶ婚活の在り方が再度見直されるなど、結婚相談所を取り巻く環境にも変化の兆しがある。アプリから流出した、結婚意欲が高い利用者のニーズをとらえた「出会いの機会」をどう提供できるかが、結婚相談所ビジネスの今後を左右するとみられている。