1月の負債1000万円未満の倒産48件、増勢を強める

 東京商工リサーチが発表した「負債1000万円未満」倒産状況によると、2024年1月の負債1000万円未満の企業倒産は48件(前年同月比50.0%増)で、9ヵ月連続で前年同月を上回った。2020年(47件)以来4年ぶりに40件台に乗せ、コロナ禍前の水準に戻した。コロナ禍の支援効果の薄れとゼロゼロ融資の返済開始、物価高、人材確保に伴う人件費の上昇など、幅広いコストアップが資金繰りに影響を及ぼし、倒産の増勢につながった。

 産業別は、最多が「サービス業他」の23件(前年同月比53.3%増)で、2年連続で前年同月を上回った。構成比は47.9%(前年同月46.8%)とほぼ半数を占めた。このほか、「建設業」7件(同75.0%増)と「製造業」3件(同50.0%増)、「卸売業」4件(同33.3%増)が2年連続、「小売業」6件(同100.0%増)と「情報通信業」4件(同100.0%増)で5年ぶりに、それぞれ前年同月を上回った。

 形態別は、48件すべてが「破産」だった(前年同月比50.0%増)。負債1000万円未満の倒産は小・零細企業がほとんどで、資金面に加えて人的リソースも限界があり、経営再建への取組みは難しい。また、事業内容や取扱品、技術力などで独自ノウハウや特色を打ち出せず、他社との差別化を図れずにスポンサーなどの支援企業を見つけることは難しい。そのため、債務整理にあたっては、消滅型の破産を選択せざるを得ない状況を映している。

 原因別は、最多が「販売不振」の33件(前年同月比50.0%増)で、2年連続で前年同月を上回った。構成比は68.7%。このほか、「事業上の失敗」3件(同50.0%増)と「他社倒産の余波」7件(同16.6%増)が、それぞれ2年連続で前年同月を上回った。負債1000万円未満は大半が資産背景が乏しい小・零細企業で、経営再建や再生のノウハウもなく、いったん経営不振に陥ると抜け出すのは難しく、倒産に追い込まれているようだ。

 資本金別は、「1千万円未満」が43件(前年同月比48.2%増)で、2年連続で前年同月を上回った。構成比は89.5%(前年同月90.6%)で、1.1ポイント低下。内訳は、「100万円以上500万円未満」が20件(前年同月比42.8%増)、「個人企業他」が15件(同200.0%増)、「100万円未満」が7件(同16.6%増)、「500万円以上1千万円未満」が1件(同75.0%減)。「5千万円以上1億円未満」と「1億円以上」は15年連続で発生がなかった。

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