TPP11、企業の5割強が「日本に必要」と回答

 2018年12月30日、TPP11(環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定:CPTPP)が発効した。TPP11における包括的通商ルールは、政府が進める他の通商交渉だけでなく、海外取引を行っていない企業にも影響を及ぼすとみられ、その動向が注目されている。帝国データバンクがこのほど発表した「TPP11に関する企業の意識調査」では、企業の5割強がTPP11は「日本に必要」と回答した。

 調査結果(有効回答数9619社)によると、TPP11の「日本」にとっての必要性の認識は、「必要だと思う」と回答した企業は53.4%と半数を超え、「必要だとは思わない」(9.7%)を43.7 ポイント上回った。米国がTPPから離脱し、11ヵ国での閣僚会合が開催された時期に実施した前回調査(2017年6月調査)と比較すると、「必要だと思う」は1.7ポイント増加し、TPP11の必要性を認識する企業が緩やかに増加している様子がうかがえる。

 他方、TPP11の「自社の属する業界」にとっての必要性の認識は、「必要だと思う」と回答した企業は24.9%となり、「必要だとは思わない」(28.9%)を4.0 ポイント下回った。前回調査と比較すると、「必要だと思う」が2.4 ポイント増加した一方、「必要だとは思わない」は3.7 ポイント減少した。自社の属する業界に対しては、依然として必要性を捉えかねている企業も多いものの、見解は二分している。

 現時点におけるTPP11が自社に与える影響は、「プラスの影響がある」と回答した企業は12.1%。「マイナスの影響がある」は4.7%にとどまったものの、「分からない」が4割を超えている。また、「影響はない」は37.6%だった。TPP11が自社に「プラスの影響がある」とした企業を業種別にみると、「飲食店」が32.6%で3割超。以下、「旅館・ホテル」、「家具類小売」、「飲食料品・飼料製造」、「飲食料品卸売」、「人材派遣・紹介」などが続いた。

 発効したTPP11の内容を踏まえて、食品関連を中心に仕入価格の低下や訪日観光客の増加、人材移動などが期待される業種が上位となった。また、関税引下げなどが期待される製造関連では、「飲食料品・飼料製造」や「精密機械、医療機械・器具製造」のほか、「機械製造」「輸送用機械・器具製造」がトップ10 に入った。他方、TPP11が自社に「マイナスの影響がある」とする企業では、「農・林・水産」が46.3%と突出して高かった。

 TPP11により想定される具体的なプラス面の影響(複数回答)は、「原材料コストの低下」が39.0%で最も高く、「売上や利益の増加」(34.1%)、「輸出の増加」(33.6%)とともに3割台となった。他方、マイナス面では、「販売価格の低下」が27.7%でトップ、次いで、「新規参入の増加による競争の激化」(24.4%)、「売上や利益の減少」(16.4%)、「新たなルールに対応する組織・商習慣の変更」(15.0%)などが続いた。

 同調査結果は↓

http://www.tdb.co.jp/report/watching/press/pdf/p190107.pdf