2023年の建設業の倒産、8年ぶりに1600件超える

 帝国データバンクが発表した「建設業の倒産動向調査」結果によると、2023年に発生した建設業者の倒産件数は1671件となり、前年比+38.8%と急増した。増加率が30%を超えるのは2000年以降では初めてで、リーマン・ショック期(2008年は3446件で前年比+17.3%)にも見られなかった高い水準。8年ぶりの1600件超えで、コロナ禍前の2019年(1414 件)を上回り、2014年以降の10年間では2番目の多さとなった。

 急激な業者数の減少は、進行中の案件の停滞や先送りを招く可能性もあり、地域経済への影響も懸念される。負債総額は1856億7800万円で、前年比+52.5%の大幅増。大手パチンコチェーン「ガイア」のグループ会社で、同社の店舗建設を担っていたMG建設(負債214億5000万円)とガイア・ビルド(同155億1600万円)の負債が全体を押し上げたが、この2社を除くと1件あたり平均負債額は8900万円と小規模業者の倒産が中心。

 倒産急増の背景には、資材の高騰と人手不足などに伴う「建設コストの上昇」が挙げられる。施主に対しての価格交渉が難航するなど、請負単価が上がらない中で資材高騰の局面が続き、元請け、下請けともに収益力が低下している。また、人手不足の問題は、工期の延長も引き起こしている。完工時期が後ズレすることで、元請業者による下請業者への支払延期要請も多く、孫請け以下の工事に関係する業者全体の資金繰りにも影響している。

 つなぎ融資を調達しようにも、コロナ禍でのゼロゼロ融資の導入などで借入余力が小さい業者も多く、受注は確保できているのに、支払い先行で手元現金がショートする「黒字倒産」も見られた。建設業界では、残業時間の上限規制が2024年4月から適用される。業界団体の声がけを中心に、価格転嫁や工期の適正化が進められているが、下請業者への浸透には時間が掛かる可能性もあり、更なる建設コスト上昇、倒産増加も懸念される。

 2023年の建設業者の倒産を地域別にみると、「北海道」が前年比210.0%増の62件となった。戸建を中心に資材価格の上昇で販売価格が高騰し、建売住宅の在庫が滞留。職人不足もあって、小規模業者を中心に倒産が急増した。また、「九州」は50.5%増の158件となり、過去10年で最多。コロナ禍で業績や財務が悪化していたところからの急回復で、資金繰りが追いつかない業者の倒産は増える傾向にある。

 同調査結果は

https://www.tdb.co.jp/report/watching/press/pdf/p240103.pdf