矢野経済研究所がこのほど発表した「トイレタリー市場に関する調査」結果によると、2022年度の国内トイレタリー市場規模(メーカー出荷金額ベース、5分野50品目)は、前年度比2.8%増の2兆1196億3800万円となり、2兆円規模を維持するとともに前年度を上回ったことが分かった。コロナ禍の行動制限が緩和され外出機会が増加したことで衣類用合成洗剤などの衣類関連品目が好調だった。
また家庭用マスクの着用やキッチンや水回り、食卓向けの除菌・殺菌系商材の使用は生活シーンに浸透しており、ウェットティッシュ等を含む衛生(サニタリー)関連商材は引き続き安定した需要を保った。注目トピックをみると、台所用除菌剤、住居用洗剤などホームケア関連やウェットティッシュなどサニタリー関連商材は、その多くがコロナ禍の2020年度に大きく需要が拡大した。
その後、需給ひっ迫の解消や家庭内の備蓄が一巡したことで、特需の反動減でマイナス成長となったものの、新型コロナやインフルエンザ、ノロウイルスに加え、O157など細菌による感染についても、コロナ禍が予防に関する重要性を再認識する契機となっている。2022年以降の行動制限緩和による外出機会の増加後も需要は安定的に推移している。2023年度の国内トイレタリー市場規模は前年度比1.6%増の2兆1527億円の見込み。
行動制限緩和後もコロナ禍を契機とした需要拡大が続いている品目と、需要の減少傾向が続いている品目が併存した状態が現在も生じている。トイレタリーメーカーには、今後、海外を含め、高齢化と少子化が進む市場を俯瞰した商品・販売戦略の再推進や、国内物流の2024年問題によるコスト増加対策や業務効率向上への取組み、出荷価格改訂による店頭価格上昇が与える消費者の購買動向への対応などが求められる。
こういった複数要因がトイレタリー市場にどのような影響を与えるか、注目される。
同調査結果は