円安基調が業績に与える影響、「デメリット大」47.8%

 日本商工会議所が発表した「商工会議所LOBO(早期景気観測)11月調査」結果(有効回答数1929社)における「円安基調が業績に与える影響及び設備投資の動向調査」によると、円安基調が業績に与える影響については、「メリットが大きい」は3.3%にとどまり、「デメリットが大きい」が47.8%と約5割に迫る。具体的なデメリット(複数回答)では、「原材料、部品、商品等の仕入価格の上昇に伴う負担増」が85.0%と9割に迫る。

 「燃料・エネルギー価格の上昇に伴う負担増」も74.9%と7割を超える。コスト増加分の価格転嫁の進捗が足踏みしていること(2023年10月調査)を踏まえると、目下の円安基調によって、多くの中小企業で収益が圧迫されていると考えられる。そのほか、「仕入コスト上昇分を販売・受注価格へ転嫁できず収益悪化」(36.4%)、「輸入品(食料品や日用品など)の値上げに伴う消費者の節約志向の強まり」(20.7%)などが挙げられた。

 2023年度の設備投資の動向では、「設備投資を行う(予定含む)」企業は41.6%と4割を超えるものの、前回調査(2023年6月)からは、3.6ポイント減少した。コロナ禍からの経済活動の回復に伴い、設備投資の基調は一定維持されているものの、原材料やエネルギー価格の高騰等から、実行を足踏みする様子がうかがえる。従業員規模別にみると、従業員10人未満の小規模企業では「行う」割合が約2割にとどまり、「見送る」は4割を超える。

 2023年度に設備投資を「行う(予定含む)」としている企業における、2022年度と比較した2023年度の設備投資規模の動向については、「拡大」する企業は28.8%と、前回調査(2023年6月)から、0.9ポイント減少した。設備投資を行う理由(複数回答)は、「現在または将来の需要増への対応」が45.5%と前回調査から3ポイント減少し、「人手不足への対応」(30.8%)が2.7イント増加した。

 また、「商品・サービスに一定の価格転嫁が可能」となったことを挙げる企業は8.5%にとどまり、前回調査から、1.5ポイント減少。一方で、価格転嫁が実施できた企業では、 2022年度と比較した設備投資の規模について、「拡大」する企業が46.4%と、全体と比較して17.6ポイント増加。設備投資の目的については、深刻化する人手不足等を背景とした「省力化・合理化」が51.2%と半数を超え、前回調査から8.9ポイント増加した。

 同調査結果は↓

https://cci-lobo.jcci.or.jp/wp-content/uploads/2023/11/LOBO202311.pdf