無申告法人調査で法人税・消費税合計173億円を追徴

 事業を行っているにもかかわらず申告をしていない法人を放置しておくことは、納税者の公平感を著しく損なうものであることから、国税庁では、こうした稼働無申告法人に対する調査に重点的に取り組んでいる。今年6月までの1年間(2022事務年度)においては、事業を行っていると見込まれる無申告法人1632件(前年対比10.1%増)に対し実地調査を実施し、法人税94億7600万円(同4.6%増)を追徴課税した。

 また、消費税については1370件(前年対比12.0%増)を実地調査した結果、消費税105億4400万円(同28.1%増)を追徴課税。法人税と合わせると200億2000万円(同15.8%増)を追徴課税している。このうち、稼働している実態を隠し、意図的に無申告であった法人税364件(同11.7%増)及び消費税309件(同15.7%増)の法人に対し、法人税60億5900万円(同▲4.2%)、消費税46億6800万円(同28.3%増)を追徴課税した。

 無申告事案では、売上代金を代表者名義の預金口座に振り込ませ、書類を破棄することで取引を隠蔽していたものがある。調査法人A社は、事業を行い収入を得ていたが、申告義務があることを認識しながら、売上代金を代表者名義の預金口座に振り込ませ、また、書類を破棄するとともに、取引内容に関するデータを削除することで取引を隠蔽し、申告を一切せずに納税を免れていた。

 そのほか、婦人服の製造業で得た収入について、売上代金を代表者名義の預金口座に振り込ませ、書類を破棄することで取引を隠蔽して無申告だった法人(追徴税額約1億5千万円)や、太陽光発電のコンサルティング業で得た収入について、売上代金を代表者名義の預金口座に振り込ませることで取引を隠蔽して無申告だった法人(追徴税額約1億1千万円)などが報告されている。