経営者の開業時の年齢は、「40歳代」が37.8%と最も高く、次いで「30歳代」が30.1%と、両年代が開業の担い手となっていることが、日本政策金融公庫が発表した「2023年度新規開業実態調査」結果(有効回答数1789社)で分かった。全体の平均は43.7歳で、2020・21年度と並んで過去最高となった。調査は、同公庫が2022年4月から同年9月にかけて融資した企業のうち、融資時点で開業1年以内の企業を対象に実施したもの。
開業者に占める女性の割合は、前年から0.3ポイント増の24.8%となり、1991年度の調査開始以来最も高くなった。開業業種については、「サービス業」が28.6%で最も多く、次いで「医療、福祉」(17.0%)、「小売業」(11.9%)、「飲食店、宿泊業」(11.0%)などが続き、地域に根差して営業する業種が多い。開業時の平均従業者数は2.8人で、調査開始以来初めて3人を下回った。調査時点(8月)の平均従業者数は3.9人で、開業時から1.1人増えた。
開業費用の分布をみると、「250万円未満」(20.2%)と「250万~500万円未満」(23.6%)で43.8%と4割以上を占め、次いで「500万~1000万円未満」が28.4%。「1000万~2000万円未満」(18.8%)と「2000万円以上」(9.0%)は減少傾向にある。1000万円未満での開業が72.2%と約7割を占める。開業費用の平均値は1027万円、中央値は550万円であり、長期的にみると少額化の傾向にある。
開業時の資金調達額は平均で1180万円となり、調査開始以来最も少なかった2021年度(1177万円)とほぼ並んだ。資金の調達先に関しては、「金融機関等からの借入」が平均768万円(平均調達額に占める割合は65.1%)、「自己資金」が平均280万円(同23.8%)となっており、両者で全体の9割弱を占めている。最近は「自己資金」の割合が減少傾向にあるが、今回は3年ぶりに減少に転じた前年度より9万円増加した。
現在の月商は「100万~500万円未満」が43.4%、「100万円未満」が42.7%となった。予想月商達成率は、「100~125%未満」が23.1%、「125%以上」が32.7%となり、半数以上が予想月商を達成した。現在の売上状況が「増加傾向」の割合は58.6%と、2021年度および2022年度に比べて高くなっている。現在の採算状況が「黒字基調」の割合は64.7%、「赤字基調」の割合は35.3%となっている。
同調査結果の概要は