厚生労働省が11月28日に公表した「2023年賃金引上げ等の実態に関する調査」結果によると、2023年中に1人平均賃金を「引き上げた(予定含む)」企業は、前年比3.4ポイント増の89.1%となった。1人平均賃金とは、常用労働者の所定内賃金(基本給)の1人当たり平均額で、残業代やボーナスは含まれない。同調査は、常用労働者が100人以上いる企業を対象に今年7月から8月にかけて実施し、1901社から有効回答を得たもの。
1人平均賃金を「引き下げた(予定含む)」企業は前年比▲0.7ポイント減の0.2%、賃金の改定を「実施しない」は同▲0.8ポイント減の5.4%となっている。2023年中の1人平均賃金の改定額は前年を3903円上回る9437円、1人平均賃金の改定率は同1.3ポイント増の3.2%。改定額を企業規模別にみると、「5000人以上」は1万2394円、「1000~4999人」9676円、「300~999人」9227円、「100~299人」7420円だった。
管理職の定期昇給制度の有無をみると、「制度あり」の企業が77.7%、「制度なし」が20.9%。制度ありの企業で2023年中に「定昇を行った・行う」企業は71.8%、「定昇を行わなかった・行わない」企業が5.0%。一方、一般職では、「定昇制度あり」の企業が83.4%、「定昇制度なし」の企業が15.4%。制度ありの企業で2023年中に「定昇を行った・行う」企業は79.5%、「定昇を行わなかった・行わない」企業が3.7%だった。
定昇制度がある企業のうち、「定昇とベア等の区別のある」企業で、2023年中に「ベアを実施した」企業は、管理職で43.4%、一般職で49.5%。また、2023年中に賃金の改定を実施・予定していて額も決定している企業における「賃金カットを実施・予定している」企業は6.3%で、対象者別にみると、「管理職のみ」の企業が26.4%、「一般職のみ」が31.0%、「管理職一部と一般職」が40.6%となっており、「一般職全員」は1.5%だった。
2023年中に賃金の改定を実施・予定していて額も決定している企業について、賃金の改定の決定に当たり最も重視した要素をみると、「企業の業績」とした企業が36.0%(前年40.0%)と最も多く、次いで「労働力の確保・定着」が16.1%(同11.9%)、「雇用の維持」が11.6%(同10.7%)、「重視した要素はない」が9.5%(同16.7%)、「物価の動向」が7.9%(同1.3%)などとなっている。
同調査結果の概況は
https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/chingin/jittai/23/dl/10.pdf