デロイトトーマツグループは、日本企業における役員報酬の水準や株式報酬制度等の導入状況、役員指名、コーポレートガバナンス領域も含めた中長期的な企業価値向上に資するトピックを包括的に調査した「役員報酬サーベイ(2023年度版)」の結果を発表した。同サーベイは役員指名やコーポレートガバナンスを含め1231社を調査した結果、売上高1兆円以上企業の社長の報酬は、中央値で前年から10%増え1.2億円となった。
売上高1兆円以上の企業における社長・CEOの報酬総額水準は、中央値で1億2341万円(前年比+10%)。変動報酬比率は前年同水準(2022年47%、2023年46%)の結果となった。また、近年の気候変動対応や人的資本経営の要請に伴い、ESG指標を役員報酬の決定に活用する企業も増加。ESGとは「Environment(環境)」、「Social(社会)」「Governance(企業統治)」の頭文字を取った言葉で、企業が取り組むべき課題を示すもの。
短期もしくは長期インセンティブのいずれかを導入し、ESG指標を役員報酬に連動させる企業は全体で13.2%(前年比+5.3ポイント)、売上高1兆円以上の企業では61.1%(前年比+18.2ポイント)に達した。大手企業を中心に、ESG対応が重要な取組みであると認識され、役員報酬のKPIとして採用されてきたと言える。採用が多いESG指標は、気候変動及び従業員関連指標が先行している。
女性取締役あるいは外国籍取締役を登用している企業は70.2%と前年より8.6ポイント増加し、女性取締役のみ1人以上存在する企業も62.4%と前年より8.1ポイント増加した。一方、外国籍取締役のみ1人以上存在する企業は1.6%(前年比-0.4ポイント)、女性取締役と外国籍取締役の両方が存在している企業は6.1%(前年比+0.8ポイント)と前年から大きな変化は見られなかった。
任意の報酬委員会を設置する上場企業は81.6%(前年比+3.9ポイント)、任意の指名委員会を設置する上場企業は77.0%(前年比+5.2ポイント)。上場企業における報酬・指名以外の任意委員会の設置率は、リスクマネジメント委員会が55.3%、サステナビリティ委員会が44.6%で高い。特にサステナビリティ委員会は487社が設置し、前年の設置率から1.5倍。サステナビリティ経営に向けた企業の基盤づくりが進んでいると言える。
同調査結果は
https://www2.deloitte.com/jp/ja/pages/about-deloitte/articles/news-releases/nr20231120-2.html