2年続いた値上げラッシュに収束の兆しが見え始めている。帝国データバンクがこのほど発表した「食品主要195社の価格改定動向調査」結果によると、主要な食品メーカー195社における、家庭用を中心とした11月の飲食料品値上げは131品目となった。単月の値上げ品目数としては、2022年12月(199品目)を下回り2022年以降で最少を更新したほか、10月に続き4ヵ月連続で前年同月を下回った。
値上げ1回あたりの平均値上げ率も10月の17%をピークに低下し、11月は16%にとどまるなど、年内の「値上げラッシュ」は10月に峠を越えた。2021年秋以降に急激な値上がりを見せた原材料価格の上昇分について、2023年中旬にかけて段階的な価格転嫁=値上げが浸透したほか、当初想定に比べて電気・ガス代などのエネルギーコストが低く抑えられたことで増益を確保するなど、採算性の改善が進んだことが大きな要因とみられる。
また、一部食品では値上げ後に販売数量が減少といった消費者の「値上げ疲れ」による影響も顕在化し、追加の値上げ判断が見送られたケースも多いとみられ、値上げの勢いは2023年8月以降、後退機運が鮮明となった。この結果、2023年通年の値上げ品目数は、既に実施されたものを中心に累計3万2189 品目となった。年間累計は2022年の水準(2万5768品目)を大きく上回り、バブル崩壊以降で類を見ない記録的な値上げラッシュとなった。
2024年1月以降に計画・予定されている食品値上げは、2023年10月末時点で493品目にのぼり、半数超をドレッシングなどの調味料が占める。ただ、来年の値上げ計画としてサバ缶やツナ缶といった魚肉製品、冷凍食品など3053品目が判明していた1年前に比べ、2024 年の値上げ規模は約1割にとどまる。食用油の一斉値上げなどから始まった、約2年にわたる食品の値上げラッシュは「沈静化」の傾向が強まっている。
2023年11月の値上げは「酒類・飲料」(76品目)が全食品分野で最多。ただ、酒類・飲料分野でみると、前年同月から約3割の水準にとどまった。「加工食品」は5品目にとどまり、値上げがゼロだった月を除いて2022年以降最少だったほか、「菓子」(18品目)も年内最少だった。月間100品目超の値上げが常態化していた「調味料」は、今年で最少の32品目となった。バターやパック牛乳などの乳製品は、1月以来10ヵ月ぶりのゼロだった。
同調査結果はhttps://www.tdb.co.jp/report/watching/press/pdf/p231013.pdf