2022年法人の市場退出率は1.65%で2年ぶりの上昇

 東京商工リサーチが発表した「退出法人(倒産+休廃業・解散)動向調査」結果によると、2022年の退出法人数は4万7578件(前年比12.7%増)で、2年ぶりに増加した。コロナ禍での政府や自治体、金融機関の資金繰り支援が奏功し、2021年の退出法人数は前年より11.7%減少したが、2022年は支援効果の一巡や物価高、経済活動の再開による人手不足も重なり、10年間では2020年(4万7844件)に次ぐ二番目の水準だった。

 2013年以降の10年間では、「倒産」は2019年まで中小企業金融円滑化法の効果が持続し、減少基調にあり、2020年以降のコロナ禍の支援効果で一段と減少。一方、「休廃業・解散」は増加をたどり、退出件数を押し上げた。また、2022年の法人退出率(普通法人全体に占める退出法人の割合)は1.65%で、前年の1.49%から0.16ポイント上昇した。2013年の退出率は1.33%だったが、コロナ禍に突入した2020年には1.72%に達した。

 2021年は資金繰り支援が浸透し、退出が抑制され退出率も一時的に低下したが、2022年は再び増加し、退出率も上昇に転じた。2022年の産業別の法人退出率は、最高が「情報通信業」の3.67%で、唯一、3%を超えた。ソフトウェア開発を中心とした情報通信業は、活発なDX投資などによりニーズが高い産業の一方で、資産背景が脆弱な新規創業が多く、将来の需要を見据えた戦略を確立できない企業を中心に淘汰が進んだ。

 次いで、「金融・保険業」が2.58%だった。人口減少で競合が厳しい保険代理店を中心に、退出法人数が増えている。最も退出率が低いのは「不動産業」で、1.07%だった。10年平均は0.96%で唯一、1%を下回る。退出は2013年の2403件から、2022年は3879件と大幅に増えた(61.4%増)が、資格要件などの障壁も低く、仲介であれば設備投資もそれほど必要としないため、独立や新規開業数が多い。

 2013年を基準年(指数=100)とし、10年間の退出法人数の推移を指数化したところ、全産業の2022年の退出指数は137.2で、前年から15.5ポイント上昇。10年間では2020年の138.0に次いで、2番目の高さとなった。産業別では、2022年のトップは「情報通信業」の196.1で、2013年からの退出法人数は約2倍に増加。ビジネス関連のソフトウェア開発やゲームアプリ関連業界などでの激しい競合環境の実態が浮き彫りになった。

 次いで、新規開業が多い一方で、倒産や休廃業・解散法人が多く、入れ替わりが激しい「サービス業他」が180.4、退出率が情報通信業に次いで高い「金融・保険業」が170.8だった。大半の産業で退出指数が上昇傾向を示すなか、「建設業」は2022年の退出指数が99.0で、唯一、100を下回った。10年間を通し概ね横ばいで推移しており、震災復興需要や都心部の再開発、低金利による民間建設投資などで退出が抑制されたとみられる。

 同調査結果は

https://www.tsr-net.co.jp/data/detail/1198029_1527.html