食品産業の景況 6年ぶりにプラスへ転じる~日本公庫

 日本政策金融公庫がこのほど発表した「食品産業動向調査(2023年7月調査)」結果(有効回答数2384社)によると、2023年上半期(1~6月)の食品産業の景況DIは、前回調査(2022年下半期)から8.9ポイント上昇し7.4 となり、2016年下半期以来、6年ぶりにプラス値へ転じた。同調査の主な調査対象は、国産の農林水産物を原材料として使用または商品として取り扱う食品関係企業だ。

 業種別景況DIは、すべての業種で前回調査から上昇。「製造業」は前回調査から9.2ポイント上昇し8.7、「卸売業」は同8.6ポイント上昇し4.5となり、プラス値へ転じた。「飲食業」は同14.1ポイント上昇し35.7となり、1997年の同調査開始以来の最高値となった。また、2023年上半期の食品産業の仕入価格DIは、同3.4ポイント低下し85.2。販売価格DIは、同5.4ポイント上昇して64.3 となり、調査開始以来の最高値となった。

 原材料高騰等に伴うコスト増加分の価格転嫁の状況は、「コスト増分を全額販売価格に転嫁(しようとしている)」の回答割合は、製造業、卸売業、小売業で前回調査から大きく上昇し、すべての業種で2割を超えた。コロナ・原材料高騰等の影響により変化したと思われる市場(消費者)ニーズ対応のために重点化した取組み(2つまで回答)は、「販路の見直し」(28.9%)、「内容量・ロットの見直し」(26.1%)、「高品質化」(22.1%)の順となった。

 なお、2024年から施行されるトラックドライバーの時間外労働時間規制による「物流2024年問題」に対応するために必要な対策(3つまで回答)については、物流業者との「運賃・手数料の交渉」(40.4%)、「共同配送の活用」(25.9%)、「ロットの変更」(19.1%)の順。なお、「わからない」の回答割合は18.7%となった。卸売業では、「集出荷先の見直し(近距離先へ)」(18.7%)の回答割合が他の業種と比べて高くなっている。

 同調査結果は

https://www.jfc.go.jp/n/release/pdf/topics_230928a.pdf