厚生労働省はこのほど、長時間労働削減に向けた取組みを公表した。我が国においては依然として長時間労働が問題となっており、長時間労働の削減は喫緊の課題。これに取り組むため、「働き方の見直し」に向けた企業への働きかけや、長時間労働が疑われる事業場に対する監督指導の徹底等を行っている。同省では、大臣を本部長とする「長時間労働削減推進本部」を設置し、長時間労働対策について、省を挙げて取り組んでいる。
また、各都道府県労働局には労働局長を本部長とする「働き方改革推進本部」を設置し、長時間労働の抑制や年次有給休暇の取得促進等の「働き方改革」について、労使団体への協力要請や情報発信等を行っている。これらの取組みの基となるものの一つに、2016年12月26日に策定した「過労死等ゼロ」緊急対策及び翌年2017年1月20日に策定した新ガイドラインがある。
2017年1月に策定した労働時間の適正な把握のための使用者向けの新たなガイドラインは、内容として、(1)労働者の「実労働時間」と「自己申告した労働時間」に乖離がある場合、使用者は実態調査を行うこと、(2)「使用者の明示または黙示の指示により自己啓発等の学習や研修受講をしていた時間」は労働時間として取り扱わなければならないこと等を明確化した(2017年より実施)ことなどがある。
それまで、長時間労働に関する労働基準監督署の監督指導は、事業場単位で行われていたが、新たな取組みでは、違法な長時間労働等を複数の事業場で行うなどの企業に対する是正指導を新たに実施(2017年より実施)。企業幹部に対し、長時間労働削減や健康管理、メンタルヘルス対策(パワハラ防止対策を含む)について指導し、その改善状況について全社的な立入調査により確認することとした。
また、是正指導段階での企業名公表制度は、それまで、違法な長時間労働(月100時間超、10人以上または4分の1以上、労基法32条等違反)が1年間に3事業場認められた場合に行われていたが、その要件を、月100時間超を月80時間超に拡大し、過労死等・過労自殺等で労災支給決定した場合も対象とした。これらが2事業場に認められた場合に、企業本社の指導を実施し、是正されない場合に公表することとしている。
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