10月の食品値上げは4634品目、「酒類・飲料」が最多

 帝国データバンクが発表した「食品主要195社の価格改定動向調査」結果によると、主要な食品メーカー195社における、家庭用を中心とした10月の飲食料品値上げは4634品目となった。酒税引上げが影響した第三のビールや発泡酒、日本酒など酒類・飲料が約7割を占めたほか、ハム・ソーセージなど加工食品やアイス・氷菓類、チョコレート菓子など再値上げとなった食品もあり、単月としては年内で3番目に多い水準となった。

 一方、10月としては過去最大級だった前年の7864品目に比べて3230品目減・6割の水準にとどまった。ほぼ全ての食品が一斉に値上げされた22年10月当時に比べ、値上げされた食品分野の構成に大きな変化はなかったものの、「値下げ(実質を含む)」が10月に約800品目発生するなど、品目によって対応が分かれた。また、調味料ではマヨネーズ類やだし製品などのまとまった値上げが見送られたことも、全体の値上げ品目減少に影響した。

 2023年通年の値上げ品目数は、既に実施されたものや今後予定するものを含め、累計で3万1887品目となった。年間累計としては22年の水準(2万6237品目)を大きく上回り、バブル崩壊以降で類を見ない記録的な値上げラッシュとなったものの、急激に値上がりした前年の原材料価格の上昇分について一定の価格転嫁ができた企業が増えていることから、値上げの勢いは23年後半にかけて後退傾向にある。

 そのため、値上げは10月を一旦のピークとして23年末にかけて小康状態が続くと想定され、当初の年間予想(3万5000品目)をやや下回る3万2000品目台にとどまるとみられる。なお、2023年10月の値上げは、「酒類・飲料」(3194品目)が年内最多となった。全食品分野で最も多かったものの、前年同月に比べると8割の水準にとどまった。「加工食品」(890品目)や「調味料」(209品目)なども、前年同月に比べて大幅に減少した。

 一方、「菓子」(173品目)と「原材料」(118品目)、「乳製品」(50品目)の3分野はいずれも前年同月を上回った。菓子では、輸入小麦粉や生乳、粗糖、チョコレートなど原材料高の影響を受けて再値上げとなった製品が多くみられた。「原材料」では、熱波や干ばつなど生産国の天候不順による影響を受けたゴマ製品やオリーブオイル製品の値上げが顕著にみられた。