2023年度の地域別最低賃金改定、全国平均は1004円に

 労働政策研修・研究機構はこのほど、2023年度の地域別最低賃金改定が決まった経緯を明らかにするレポートを発表した。それによると、2023年度の各都道府県における地域別最低賃金の改定額答申が8月18日に出揃った。23都道府県で中央最低賃金審議会の目安と同じ額の引上げが答申された一方で、24県は目安を1~8円上回る引上げとした。改定後の最低賃金は全国平均で1004円となり、千円の大台に乗せた。

 地域別最低賃金の改定審議は、厚生労働大臣からの諮問をうけた中央最低賃金審議会が調査審議を行い、改定の目安を答申のなかで提示する。各都道府県の地方最低賃金審議会は、その目安を参考にして調査審議を行い、それぞれの地方での改定額を答申し、改定額が決定する。今年の審議では、賃金や物価が上昇するなかで、最低賃金が全国平均で千円を突破するかどうかに注目が集まった。

 中央最低賃金審議会の審議で労働者側委員は、「『誰もが時給1000円』への到達に向けてこれまで以上に前進する目安が必要であり、あわせて、地域間格差の是正につながる目安を示すべき」と主張。一方、使用者側委員は、審議のありかたについて、「全国の企業経営者に対して納得感のある目安を示す責務があることを強調するとともに、10月1日発効を前提とした審議スケジュールに必要以上にとらわれず、慎重な議論をすべき」と主張した。

 こうした労使の意見の隔たりから、2023年度の地域別最低賃金の改定目安は例年通り、公益委員見解の形で示さ、引上げ額の目安はAランクが41円。Bランクが40円。Cランクが39円。全国加重平均では41円で、昨年度の31円を大きく上回った。この答申を参考に、各地方の最低賃金審議会で地域における賃金実態調査や参考人の意見等もふまえた調査・審議が行われ、8月18日までに全ての都道府県で、改定額答申が出揃った。

 それによると、23の都道府県が目安通りの引上げを答申している。Aランクに属する6都府県では、千葉県を除いて目安どおりの引上げとしている。一方、24県は目安を1~8円上回る引上げとした。目安を5~8円上回った県はいずれもCランクに属している。最も引上げ額が高いのは島根県と佐賀県の47円。全国加重平均では43円の引き上げとなり、中央最賃審の答申を2円上回った。

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https://www.jil.go.jp/kokunai/blt/backnumber/2023/10/special_02.html