東京商工リサーチがこのほど発表した「負債1000万円未満」倒産の状況によると、8月の負債1000万円未満の企業倒産は37件で、前年同月比54.1%増と大幅に増加して、8月では2019年以来、4年ぶりに前年同月を上回った。2023年に入り、3月と4月を除く6ヵ月で前年同月を上回り、緩やかな増勢が続いている。「新型コロナ」関連倒産は、11件(前年同月8件)発生した。
コロナ禍の資金繰り支援策で、一時的に企業倒産は抑制されたが、支援効果の副作用でもある過剰債務の解消が経営課題に浮上するなか、コロナ禍からの業績回復の遅れに加え、物価高や人手不足などが企業の資金繰りに負担となっている。負債1000万円以上の企業倒産が増勢を強めるなか、企業体力がぜい弱な小・零細企業を中心に負債1000万円未満の倒産も一進一退を繰り返しながら、緩やかな増加に転じている。
産業別では、最多は「サービス業他」の19件(前年同月比46.1%増)で、構成比は51.3%(前年同月54.1%)だった。このほか、「製造業」1(前年同月ゼロ)と「卸売業」2件(前年同月比100%増)が3年ぶり、「小売業」7件(同250%増)が4年ぶり、「金融・保険業」と「運輸業」が各1件(前年同月ゼロ)で2年ぶりに、それぞれ前年同月を上回った。一方、「農・林・漁・鉱業」は2年ぶりに発生がなかった(同2件)。
業種別では、経営コンサルタント業が3件(前年同月ゼロ)、一般電気工事業、酒小売業、無店舗小売業、労働者派遣業が各2件(同ゼロ)、建築工事業、鉄筋工事業、貨物軽自動車運送業、呉服・服地小売業、コンビニエンスストア、新聞小売業、損害保険代理業、旅館,ホテル、食堂,レストラン、中華料理店、焼肉店、バー,キャバレー,ナイトクラブ、配達飲食サービス業、一般機械修理業が各1件で、それぞれ前年同月を上回った。
原因別件数の最多は、「販売不振」の21件(前年同月比23.5%増)で、負債1000万円未満の半数以上(56.7%)を占めたが、前年同月の70.8%より14.1ポイント低下した。このほか、「他社倒産の余波」が7件で、3年ぶりに発生した。多くが中核企業の倒産に伴って、関連会社も同時に法的手続きをとったことに起因している。経営基盤がぜい弱で、コロナ禍からの業績改善の遅れから事業継続を断念するケースが多い。
「負債1000万円未満」倒産の状況は