東京商工リサーチが発表した「飲食業の倒産動向調査」結果によると、2023年(1~8月)の「飲食業」倒産は569件(前年同期比82.3%増)発生し、2022年の年間件数の522件をすでに上回った。8月までの倒産の月平均71.1件で推移すると、2020年の年間倒産(842件)を抜いて、過去最多の850件台に乗せる可能性も出てきた。業種別では、増加率の最大が「宅配飲食サービス業」の前年同期比192.8%増(14→41件)だった。
「宅配飲食サービス業」に次ぐのは「持ち帰り飲食サービス業」前年同期比145.4%増(11→27件)、以下、「専門料理店」同103.1%増(64→130件)、「食堂,レストラン」同100.0%増(70→140件)の順。これら4業種と「喫茶店」は、2022年の年間倒産件数をすでに上回った。宅配や持ち帰り業態はコロナ禍で好調だった。だが、新規参入者の急増による競合やアフターコロナでの人流回復で、経営環境が激変した。
一方、コロナ関連倒産の構成比では、「そば・うどん店」(77.7%、コロナ関連倒産7件)と「酒場,ビヤホール」(75.4%、同89件)が7割台を占めたほか、すべての業種で5割を上回り、引き続きコロナ禍の影響も根深く残している。コロナ関連支援の終了・縮小の一方で、人手不足や食材費・電気代は高騰し、コロナ禍より厳しい事業環境に直面する飲食業者は多く、今後も飲食業倒産は増勢を強めるとみられている。
原因別では、「販売不振」が最多の468件(前年同期比85.7%増)だった。次いで、「既往のシワ寄せ」36件(同80.0%増)、「他社倒産の余波」28件(同115.3%増)の順。『不況型』倒産(既往のシワ寄せ+販売不振+売掛金等回収難)は504件(同85.2%増)で、構成比は88.5%(前年同期87.1%)を占めた。増加率では、「事業上の失敗」が前年同期比142.8%増(7→17件)で最大だった。
負債額別では、最多の「1千万円以上5千万円未満」が403件(前年同期比101.5%増)で、飲食業倒産に占める構成比は70.8%だった。「5千万円以上1億円未満」の84件(同40.0%増)と合わせて、負債額1億円未満の倒産は85.5%を占めた。増加率の最大は、「5億円以上10億円」未満の350.0%増(2→9件)。飲食業の倒産は小・零細事業者が中心だが、コロナ関連融資などによる過剰債務が負債の規模を大きくしている可能性がある。
同調査結果は