日本商工会議所が発表した「商工会議所LOBO(早期景気観測)」8月調査」結果によると、電力料金の上昇による足元の経営への影響について、「悪影響がある」は62.0%と過去最高を記録した。年々増加傾向にあり、2021年と比較すると2倍超となるなど大幅に増加している。また、「電力料金が高い状態が続けば悪影響を懸念」も29.3%と、依然として約3割存在し、「悪影響がある」62.0%と合わせて、9割を超える。
今後も高い料金が続いた場合の対応(複数回答)については、「既存設備での節電の実施など人件費以外のコスト削減」が49.6%と最多、次いで、「サービス・商品への販売価格への転嫁」が35.9%、「比較的安価な設備(LED照明等)を省エネ性の高い設備に更新・導入」が30.6%となっている。過去調査と傾向を比較すると、企業単体のコスト削減のみでは、電力料金上昇の影響を軽減することが困難になってきている傾向がうかがえる。
中小企業からは、「製造業において、電力料金は主要な価格決定要因の一つ。当然、省エネ設備等によるコスト削減を図っているが、価格転嫁が実施できなければ、事業を停止せざるを得ない」(青森、製材木製品製造業)や、「省エネ化やコスト削減機器の導入に対する市の補助金を申請。今後もLED照明機器導入等について補助金が出れば、省エネ、コスト削減につながると思う」(高松、衣料品小売業)などの声が寄せられている。
また、実質無担保・無保証融資(ゼロゼロ融資)利用企業における既往債務も含めた資金繰り状況は、「資金相談は現時点で必要ない」が36.7%と最多、「新規・追加融資や借換により、希望通りの条件で新たな資金を調達できた」が26.9%と続く。一方で、約2割の企業で「資金繰りに不安はあるが、現時点では金融機関に相談はしていない」と、資金繰りに不安を抱えており、困窮に至る前の早期に相談を開始することが必要とみられている。
2050年カーボンニュートラルに対する考え・対応(複数回答)は、「エネルギーコスト上昇を危惧している」が60.4%と最も多く、2021年調査と比較して約2倍と、エネルギー価格の継続的高騰が企業心理に強い影響を与えていると考えられる。なお、8月の業況DI(産業計)はマイナス8.9で、前月比0.9ポイントの上昇。原材料・エネルギー価格の高騰でコスト増が続き、労務費等の上昇分までの十分な価格転嫁も進まず、業況は横ばいだ。
同調査結果は↓
https://cci-lobo.jcci.or.jp/wp-content/uploads/2023/08/LOBO202308.pdf