2022年度の語学ビジネス市場は▲0.8%の7806億円

 矢野経済研究所がこのほど発表した「語学ビジネス市場に関する調査」結果によると、2022年度の語学ビジネス市場規模(主要13分野合計)は事業者売上高ベースで前年度比▲0.8%減の7806億円となった。2022年度は前年度からのコロナ禍の影響で、オンラインによる語学学習ニーズが伸長したものの、13分野中、成人向け外国語教室市場などの7分野の市場が縮小した。

 一方、幼児・子供向け外国語教室市場や幼稚園・保育園向け英語講師派遣市場など子どもが受講するスクール市場に関しては、前年度並みで推移しており、コロナ禍の行動制限緩和などで2020年の教育改革による早期英語教育ニーズが顕在化したものとみられる。語学周辺ビジネスは、コロナ禍で大きく縮小した留学斡旋市場や翻訳・通訳ビジネス市場も回復傾向にあり、縮小が続いた語学試験市場と明暗を分ける結果となった。

 子ども向けの語学ビジネス業界のなかでも、現在、とくに民間企業による英語を主軸とした小学生の放課後預かりサービスである英語学童サービスへの注目が集まっている。主な英語学童は、個別指導塾「スクールIE」等の事業で知られるやる気スイッチグループの「Kids Duo」や、携帯販売店「テルル」等をはじめとした多角的な経営を進めるP-UP Worldの「KidsUP」などがあり、さまざまな企業が新規参入している。

 また、英語学童は​全国的にはまだ利用が広がっていないとみられ、東京・埼玉・神奈川や大阪など大都市圏エリアで教室を展開する事業者が多い。事業者は英語学童を専業で展開している場合もあるが、既存サービスの多くは英会話スクールやプリ・インターナショナルスクールといった語学系ビジネスを既に展開している事業者である。この他にも、保育事業者や学習塾事業者が運営しているサービスもみられる。

 2023年度の語学ビジネス市場は、前年度比4.0%増の8119億円になると予測する。​2023年度に入り、水際対策の撤廃や新型コロナウイルスの感染症法上の位置づけが5類へと移行したことなど、これまでコロナ禍で巣ごもりを続けていた人々の生活が再びコロナ禍前に戻ることが考えられる。そうしたことでビジネス向けの英会話スクールや海外留学の利用者が回復することで、語学ビジネス市場は順調に市場規模が回復していく見通しだ。

 同調査結果は↓

https://www.yano.co.jp/press/press.php/003314