「後継者難」倒産件数35件、7月では最多件数を記録

 東京商工リサーチが発表した「20023年7月の後継者難倒産調査」結果によると、7月の後継者不在に起因する「後継者難」倒産(負債1000万円以上)は35件(前年同月比40.0%増)だった。7月としては2018年同月の32件を超え、調査開始した2013年以降で最多になった。アフターコロナに向けて経済活動が本格化するが、代表者の年齢が高い企業ではコロナ禍からの業績回復が遅れ、事業継続を諦めるケースもある。

 2023年の「後継者難」倒産は、毎月30件~40件台と高水準での推移が続いている。後継者の育成や事業承継への準備は、企業の経営課題として重要になっている。金融機関に限らず、取引する際の判断材料だけでなく、企業の将来性を見る一つの指標でもある。後継者不在による企業の倒産や廃業は、単なる一企業の倒産・廃業ではない。地域雇用の受け皿や地域経済の衰退にも繋がりかねない。

 要因別は、最多は代表者の「体調不良」の19件(前年同月比280.0%増)だった。7月では2年連続で前年同月を上回った。構成比は54.2%と半数を占め、前年同月から34.2ポイント上昇。このほか、「高齢」が7件(同250.0%増、)で、4年ぶりに前年同月を上回った。7月は、「体調不良」が2018年同月の14件を超え、調査を開始した2013年以降で最多となった。また、「高齢」も最多を記録した。

 中小・零細企業は、経営者が経営全般を担うことが多い。代表者の年齢が年々上昇するなか、業績低迷が続く企業では代表者が事業意欲を喪失し、事業の継続を断念するケースも増えている。コロナ禍から経済活動が本格化するものの、事業規模が小さい企業は人的制約が大きく、後継者育成や事業承継まで手が回っていない。代表者に不測の事態が発生すると、事業に大きな影響を及ぼし、立ち行かなくなるケースが少なくない。

 産業別は、10産業のうち、増加が3産業、減少が5産業、同件数が2産業。「サービス業他」13件(前年同月比62.5%増)が2年連続、「小売業」7件(同133.3%増)が3年ぶり、「建設業」8件(同300.0%増)が5年ぶりに、それぞれ前年同月を上回った。一方、「製造業」2件(同▲33.3%)が2年連続、「卸売業」3件(同▲25.0%)が2年ぶり、「不動産業」と「情報通信業」が各1件(同▲50.0%)で3年ぶりに、それぞれ前年同月を下回った。

 同調査結果は

https://www.tsr-net.co.jp/data/detail/1197940_1527.html