『BCP策定意向あり』企業、3年連続で5割下回る

 帝国データバンクが発表した「事業継続計画(BCP)に対する企業の意識調査」結果(有効回答数1万1420社)によると、自社におけるBCPの策定状況は、「策定している」企業の割合が18.4%となった。前回調査(2022年5月)から0.7ポイント増加し、2018年から6年連続で増加している。しかし、「現在、策定中」(7.5%、前年比▲0.1ポイント減)、「策定を検討している」(22.7%、同▲1.9ポイント減)はそれぞれ減少した。

 この結果、BCPに対して『策定意向あり』(策定・策定中・検討の計)とする企業は48.6%(前年比▲1.3ポイント減)となり、新型コロナ感染症が拡大した2020年をピークに、2021年以降は3年連続で5割を下回った。BCP策定率を規模別にみると、「大企業」が 35.5%(同1.8ポイント増)、「中小企業」が15.3%(同0.6ポイント増)。「大企業」は2016年からは8.0ポイント上昇。一方、「中小企業」は同3.0ポイントの上昇にとどまった。

 企業が事業の継続が困難になると想定しているリスク(複数回答)は、地震や風水害、噴火などの「自然災害」が71.8%で最多、次いで、「設備の故障」(41.6%)が続いた。新型コロナ感染症の5類移行に伴いインフルエンザ、新型ウイルスなど「感染症」(40.4%)は前回から13.1ポイントも低下。一方で、震度5弱以上の地震が各地で起きていることから「取引先の被災」(31.4%)、「物流(サプライチェーン)の混乱」(34.7%)が上昇した。

 事業中断リスクに備えて実施・検討している内容(複数回答)は、「従業員の安否確認手段の整備」(68.2%)、「情報システムのバックアップ」(57.1%)、「緊急時の指揮・命令系統の構築」(41.0%)の順。「大企業」では従業員の安否確認や情報システムの管理などの備えを重視し、「中小企業」では「調達先・仕入先の分散」や「代替生産先・仕入先・業務委託先・販売場所の確保」などのサプライチェーンに関する備えが「大企業」と比べて多かった。

 なお、BCPを「策定していない」企業のその理由(複数回答)は、「策定に必要なスキル・ノウハウがない」が42.0%、「策定する人材を確保できない」が 30.8%、「策定する時間を確保できない」が 26.8%の順。「大企業」では「策定する人材を確保できない」(36.4%)などリソース不足と考える企業が「中小企業」と比較して多い一方、「中小企業」では「必要性を感じない」(21.6%)が「大企業」と比較して7.2ポイントも多かった。

 同調査結果は

https://www.tdb.co.jp/report/watching/press/pdf/p230612.pdf