中小企業庁では、2021年9月より、毎年9月と3月を「価格交渉促進月間」と設定し、中小企業が、原材料費やエネルギー価格、労務費などの上昇分を、発注側企業に適切に価格転嫁をしやすい環境を整備するための取組み進めている。その成果を確認するため、各「月間」の終了後、価格交渉、価格転嫁それぞれの実施状況について、中小企業から「アンケート調査、下請Gメンによるヒアリング調査」を実施している。
このほど公表したアンケート調査結果(有効回答数1万7292社)等によると、価格交渉の状況は、「価格交渉を申し入れて応じて貰えた/発注側からの声かけで交渉できた」割合は前回調査(昨年9月)より増加(58.4%→63.4%)するなど、価格交渉の実施状況は一部では好転した。一方、「発注側から交渉の申し入れがなかった、協議に応じて貰えなかった、減額のために協議申入れがあった」が依然として約16%あり、二極化が進行している。
価格転嫁の状況は、「コスト上昇分のうち何割を価格転嫁できたか」を集計した価格転嫁率は47.6%と、前回調査(9月:46.9%)に比し微増となった。コスト上昇分のうち高い割合(10割、9割~7割)を価格転嫁できた回答が増加(35.6%→39.3%)し、転嫁状況は一部では好転した。他方で、「全く転嫁できない+減額された」割合も増加(20.2%→23.5%)しており、こちらも二極化が進行している。
エネルギーコスト、労務費の価格転嫁率は、それぞれ35.0%、37.4%で、前回調査から約5ポイントの上昇。「一部だけでも転嫁できた割合」が増加(+約8ポイント)したが、原材料費の転嫁率(48.2%)よりは約1割、低い水準にある。 原材料費の転嫁率は、「一部だけでも転嫁できた割合」は増加したが(63.2%→66.6%)、「転嫁0割」も増加し(16.4%→19.5%)、全体としては横ばいとなった。
なお、相対的に価格交渉に応じている業種としては、「造船」、「繊維」、「食品製造」、「飲食サービス」の順に、一方、応じていない業種では、「通信」、「トラック運送」、「放送コンテンツ」の順にそれぞれ挙げられた。また、相対的に価格転嫁に応じている業種としては、「石油製品・石炭製品」、「卸売」、「造船」、「食品製造」、「飲食サービス」の順。一方、応じていない業種は、「トラック運送」、「放送コンテンツ」、「通信」の順だった。
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