野村総合研究所が発表した「アンケート調査にみる『生成AI』のビジネス利用の実態と意向」と題したレポートによると、アンケート調査の結果から、生成AIという言葉は、ビジネスパーソンの50.5%と約半数に認知されている。また、一般的なAIに対するイメージ(複数回答)は、「業務効率・生産性を高める」(46.2%)というイメージが高い一方で、「仕事を奪う」イメージも22.1%ある。
自身の職場における業務の中での生成AIの導入状況は、「実際に業務で利用している」割合が3.0%、「トライアル中」が6.7%、「使用を検討中」が9.5%。実際に利用している割合を勤務先の業種別でみると、製造業、金融・保険、その他サービス業などで高くなっている。製造業では、開発などの業務において、ドキュメント作成やプログラムコード作成などで導入が進んでいることが考えられる。
金融・保険などのサービス業では、コンタクトセンターでの自動応答や、営業支援などでの活用例が考えられる。「実際に業務で利用している」割合と「トライアル中」の割合の合計は9.7%になり、この割合までは、今後、比較的早い段階での生成AIの導入が想定される。業種別では、IT・通信、教育・学習支援などの業種で高く、これらの業種では、現在は導入されていなくても、今後、急速に生成AIが導入されていくとみられる。
また、「使用を検討中」まで含めると、ビジネスパーソンの約2割の職場で、将来的に生成AIを導入することが見込まれる。現在の導入率は低いものの、今後の導入が拡大しそうな業種としては、建築・土木、運輸・物流、公共などの業種がある。現在では、テキストを中心としたコンテンツの生成が中心だが、デザインや地図など画像の生成が進むことで、建築・土木、運輸・物流という業界でも利用が拡大することが考えられる。
具体的に生成AIを利用している業務内容(複数回答)は、「挨拶文などの原稿作成」(49.3%)、「記事やシナリオ作成」(43.8%)など、テキストのアウトプットでの利用が多くなっている。現状では、創造性のあるコンテンツの生成よりは、定型的でパターン化された出力結果を業務に活用している人が多くなっている。今後の利用については、「マニュアル作成」や「議事録の作成」など、より高度な編集能力を要する使い方を想定している。
テキスト以外での活用分野では、「プログラムの作成」で現在利用している人が23.8%、「挿絵やイラストの作成」が15.1%、「動画の作成」が9.6%となっており、相対的には少ないながらもテキスト以外のコンテツ生成に活用している事例も見られる。これらの利用内容から言えるのは、実際にプログラムや画像などの生成ニーズがある職場では、現在でも、ある程度は生成AIを活用しているということだろう。
この件は