来年の通常国会に区分所有法等の改正法案を提出

                              

 政府は、来年の通常国会に区分所有法等の改正法案を提出する方針だ。6月6日に開かれた所有者不明土地等対策の推進のための関係閣僚会議で新たに決定された「基本方針」と「工程表」に示されたことで分かった。所有者不明問題は一戸建て住宅だけでなく、マンション等の区分所有建物についても、老朽化マンションの増加と区分所有者の高齢化を背景に、相続等を契機として、所有者不明化や区分所有者の非居住化が進行している。

 国土交通省の調査によると、築40年超の分譲マンションは、2021年末現在116万戸だが、5年後は170万戸、10年後は249万戸に上るとみており、今後、老朽化したマンション(区分所有建物)は急増していく見込みだ。そして、高経年になるほど、空室のうち所在不明・連絡先不通である割合は高くなる傾向にある。また、老朽化したマンションの建替え等をする場合、区分所有者による決議が必要となる。

 例えば、建替えの場合は区分所有者の総数の5分の4の賛成が、共用部分や規約の変更の場合は4分の3の賛成が、区分所有関係の解消(取壊し、建物と敷地の一括売却など)の場合は全員の賛成が必要となる。ところが、不明区分所有者は、決議において反対者と扱われることから、決議に必要な賛成を得るのが困難で、特に、建替え等の区分所有建物の再生の意思決定は、要件が厳格で更に困難となっている。

 そこで、区分所有法制の見直しが喫緊の課題となり、マンション等の区分所有建物の所有者不明化・管理不全化に対応するため、所有者不明等の区分所有建物に特化した財産管理制度の創設や、不明区分所有者を決議の母数から除外する仕組みの創設、建替え要件の緩和、多数決による売却・取壊し等の新たな再生手法の創設等について、現在、法制審議会で改正案の検討が進められている。