公正取引委員会が発表した2022年度における独占禁止法違反事件の処理状況によると、同年度においては、独占禁止法違反行為について、延べ29名の事業者に対して、違反企業に再発防止などを義務付ける排除措置命令を8件行った。前年度は、現行制度が導入された2006年以降、最少の3件だったが、5件増加した。前年度は、新型コロナ感染症拡大の影響で聴取や立ち入り検査などの審査活動に大きく制約を受けたことが要因とみられる。
排除措置命令8件の内訳は、価格カルテル1件、その他のカルテル3件、入札談合4件。また、独禁法違反被疑行為について、4名の事業者に対して、3件の確約計画の認定を行った。いずれも不公正な取引方法(再販売価格の拘束、その他の拘束・排他条件付取引、競争者に対する取引妨害)となっている。確約計画の認定とは、確約手続きに係る通知を受けた事業者から申請された確約計画を公取委が認定するという、独禁法に基づく行政処分。
公取委は、認定した確約計画に従って確約計画が実施されていないなどの場合には、その認定を取り消し、確約手続きに係る通知を行う前の調査を再開することとなる。また、その他の拘束・排他条件付取引とは、再販売価格の拘束以外の拘束・排他条件付取引を指す。課徴金納付命令の状況は、延べ21名の事業者に対し、過去最高の総額1019億8909万円の課徴金納付命令を行った。一事業者当たりの課徴金額の平均は48億5662万円だった。
申告の状況をみると、2022年度において、独禁止の規定に違反すると考えられる事実について、公取委に寄せられた報告(申告)の件数は、2991件。内訳は、「小売業に係る不当廉売事案」が1478件、それ以外の事案が1513件だった。申告が書面で具体的な事実を摘示して行われるなど一定の要件を満たした場合には、申告者に対して措置結果等を通知することとされているところ、2022年度においては、2735件の通知を行った。
なお、2022年度において、事業者が自ら関与したカルテル・入札談合について、その違反内容を公取委に自主的に報告した場合、課徴金が減免される課徴金減免制度に基づき、報告等が行われた件数は、22件だった(2006年1月の制度導入時から2022年度末までの累計は1417件)。また、2022年度においては、入札談合事件8件における延べ22名の課徴金減免制度の適用事業者について、これらの事業者の名称、減免の状況等を公表している。
この件は
https://www.jftc.go.jp/houdou/pressrelease/2023/jun/230601_kanki.html